解説:
1:クモ膜下出血は、クモ膜と軟膜の間のクモ膜下腔に出血したものであり、脳動脈瘤破綻によるものが圧倒的に多く、脳動静脈奇形からの出血も5~10%みられる。前者は40~60歳に多く、後者は20~40歳に多い。クモ膜下出血の脳動脈瘤破綻は、先天的に脳動脈壁の内弾性板の欠損、中膜筋層の欠損があるところに、高血圧などの影響が加わって一部が袋状にふくらんだ嚢状動脈瘤に起こることが多い。運動は予防効果を示さない。
2:心筋梗塞は、冠動脈の閉塞または強度の狭窄によって心筋の虚血が一定時間持続することにより、心筋細胞が壊死を起こした病変をいい、前胸部胸骨裏の紋泥痛を訴える。冠動脈閉塞の原因はアテローム(粥状)動脈硬化を基盤として血栓が形成されて閉塞に至るものが最も多いので、運動は予防効果が期待できる。
3:骨粗鬆症は、骨の絶対量すなわち骨塩量が減少した状態であり、骨梁が減少し骨皮質は薄くなって脆弱化し、わずかな外力で骨折が起こりやすくなる。脊椎椎体の骨折では脊柱の後湾が起こり円背を呈する。運動は骨塩量の減少を抑制するので、予防効果がある。
4:高脂血症は、血中に脂肪成分のコレステロール、遊離脂肪酸、リン脂質、トリグリセリド(中性脂肪)のいずれかが増加している状態である。内分泌疾患の甲状腺機能低下症、クッシング症候群、下垂体機能低下症、糖尿病、肥満症などで二次性に起こることがある。運動により体脂肪の減少と除脂肪体重の増加が起こるので、予防効果がある。