解説:
疼痛とは「腹部の胃、腸、膀胱、子宮などの空洞の臓器や胆道、尿管、卵管などの管状の臓器の壁の平滑筋の攣縮に起因する腹痛」をいう。
発作的に起こったり、数分から数時間の感覚で周期的に起こる。
1:肺は腹部臓器ではないので疼痛ではない。肺塞栓では呼吸困難、胸痛がみられ、また咳嗽がみられることも多い。
2:心筋梗塞は心筋の虚血が一定時間持続することにより、心筋細胞が壊死を起こした病変をいい、前胸部胸骨裏の絞扼痛を訴える。胸痛であるので、疼痛ではない。
3:尿管結石では突発的な鋭い放散性の腹痛、すなわち疼痛が起こる。疼痛発作の間は鈍痛が続く。尿管結石ではそのほかに尿路、尿石排泄などの症状が起こる。
4:膀胱炎では排尿痛、頻尿、尿混濁がみられ、下腹部の圧痛がみられることもある。排尿痛があるが、疼痛ではない。