解説:
あん摩マッサージ指圧治療的作用としては、①興奮作用②鎮静作用、③反射作用、④誘導作用、⑤矯正作用の5作用が期待できるとされている。
1:興奮作用は、病的に機能が減退している神経や筋肉に対して、機能回復する作用をいう。手技を行うときの留意点は、弱刺激で随時間に行うこと。運動麻痺や知覚鈍麻などに対して治療効果がある。
2:鎮静作用は、病的に機能が亢進している神経や筋肉に対して、機能亢進を抑え鎮静させる作用をいう。手技を行うときの留意点は、強刺激で時間も長めに行うこと。神経痛、筋痙攣、筋緊張、知覚過敏、筋痛などに対し治療効果がある。ただし、感受性が高まっている場合は、実際には術者が考える強刺激ではなく、患荷が感じる強刺激の程度を指標として施術する必要がある。
3:矯正作用は、関節部に障害があり関節運動が十分に行えない場合に、その部分の浸出物を細かく砕き、吸収を促進させ、拘縮を起こしている関節の動きを改善するものである。一方、関節の腫張など、炎症に起因するもののように、直接患部に施術ができないときに、その部分より心臓に近い部分に施術して、誘導的に治療効果を期待するものを誘導作用という。
4:反射作用とは、疾病部位から離れた部位に施術して反射機転を介して、神経や筋肉、内臓などに刺激を与え、異常機能の調節を図る作用をいう。内臓に異常がある場合にその反応が、皮膚、結合織、筋肉などの表在組織に反射されて異常が現れる。また、その部分に施術し、過敏、圧痛、緊張、硬結を取り除くことにより内臓の異常が調整される。