解説:
目の疲れと乾燥感は、肝の異常を疑う必要がある。また、腰下肢の重だるさは腎虚を疑う。手足のほてり、紅舌(舌が赤い)、脈細数は、陰虚症状である。
したがって、「1:肝腎陰虚」が適切である。
臓腑弁証は、臓腑の固有症候と気血津液の病症、さらに、八綱の内容の組合せによって証が決定される。したがって、まず臓脈の固有症候から、どの臓腑の異常かを明らかにする必要がある。設問では、目の異常ということから肝を、さらに腰下肢の重だるさ(腰下肢酸軟)から腎を疑う。次に、気血津液の所見は明確ではないが、手足のほてりは五心煩熱の所見であり、紅舌、脈細数とともに、八網の陰虚を裏づける特徴的所見である。したがって、「肝腎陰虚」というのが臓脈弁証の答えとなる。数多い臓腑弁証の項目を丸暗記するというのは、時間的にも難しいが、臓腑の固有症候、気血津液の症候、八綱の症候の組み合わせによって臓腑弁証が構築されることを認識しておく必要がある。
その他の選択肢は以下の通り。
- 「2:心腎不交」は、心陽の亢進症状も含まれており、精神症状、不眠、多夢、夢精などの症状を伴い、適切ではない。
- 「3:肝脾不和」は、脾の症状が出やすいことから、適切ではない。
- 「4:脾腎陽虚」は、陽気不足から四肢厥冷や寒がり、下痢等が生じ、設問とは関連せず、適切ではない