解説:
2:風池は胸鎖乳突筋と僧帽筋の間で、頭板状筋と頭半棘筋が下層にある。
後頭下筋群はそのさらに深層にあり、下頭斜筋は軸椎棘突起から環椎横突起に付き、頭部後屈と回転に関わるとともに眼球運動と連動して収縮緊張する。
眼球と頚部の筋活動は相互に関連し、目の動きに対して頭部の向きや動きの制御を行う。
眼疲労に対する治療として後頭下筋群へのアプローチは適切となる。
ただし、風池は風府の外方であり、後頭下筋群では大後頭直筋、上頭斜筋が深層に存在する。
風池から下頭斜筋に当てるには、下方へ向けて刺入する必要がある。
下頭斜筋は、停止部である環椎横突起が乳様突起よりも前方となるため、軸椎の棘突起から前方へ向けて深部を走行するので、風池の位置から下頭斜筋に刺鍼するには刺入深度が深くなる。
後頭下三角には椎骨動脈があり、注意が必要である。
眼疲労に対し、風池で下頭斜筋を狙うという刺鍼法は、実際には大後頭直筋か上頭斜筋を刺激している可能性が高い。
正答は2であるが、上記から臨床で風池を用いるのは適切とはいえないと考える。
その他は以下なので、当てはまらない。
- 1:玉枕は後頭筋。
- 3:大杼は僧帽筋・菱形筋・脊柱起立筋群。
- 4:頭維は前頭筋。