臨床医学各論(全470問)
疾患と症状との組合せで正しいのはどれか(11回)
解答:1
- 1.ウィルソン病―片麻痺
- 2.クロイツフェルト・ヤコブ病―認知症
- 3.アルツハイマー病―感覚障害
- 4.パーキンソン病―アテトーゼ
解説:
- 1:ウィルソン病は肝レンズ核変性症ともいわれ、先天性の代謝異常によってセルロプラスミンが欠損し、無機銅の蓄積による小脳のレンズ核変性が起こり、また、肝硬変、角膜輪を生ずるものであり、筋強直による歩行障害や言語障害、企図振戦、羽ばたき振戦などを生じる。アテトーゼがみられることもある。片麻痺は脳卒中(脳出血、脳梗塞、脳血栓)などで起こる。
- 2:クロイツフェルト・ヤコブ病は、感染性の蛋白粒子プリオンによって脳が損傷しスポンジ状になるもの(海綿状脳症)であり、認知症になる。狂牛病にかかった牛の肉を食べることにより感染すると考えられている。
- 3:アルツハイマー病は、初老期認知症の代表的なものであり、病理学的特徴として脳のびまん性萎縮、アルツハイマー神経原線維、老人斑などがみられる。知能の低下による認知症を生じ、また大脳巣症状としての言語障害、失行、失認などもみられ、さらに神経症状として、筋硬直を起こしてパーキンソン症状の小刻み歩行がみられるようになる。感覚障害は起こらない。
- 4:アテトーゼは、線状体に異常があり、舞踏病よりもゆっくりした持続の長い不規則な不随意運動が起こるものであり、筋トーヌスが亢進して力の入った動きをする。原因は不明なものが多いが、症候性は脳性小児麻痺が最多で、成人の脳血管障害やウィルソン病(肝レンズ核変性症)でも起こることがある。パーキンソン病は錐体外路系の変性疾患であり、振戦、筋硬直、寡動(無動)、姿勢調節障害(前傾前屈姿勢、前方突進)などが起こるが、アテトーゼは起こらない。