次の文で示す症例について以下の問いに答えよ（２８回）

解説：

過敏性腸症候群では器質的疾患はなく、腸管の機能異常による腹痛・腹部不快感とそれに関連した便通異常がみられる。消化管運動異常とともに消化管の知覚過敏･知覚閾値低下がみられる。よって3は誤り。

設問の症例は下痢型の過敏性腸症候群と考えられる。過敏性腸症候群の病態にはストレスが関与し、ストレス負荷と消化器症状悪化が相関する（腸脳相関)。

視床下部から放出される副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)は腸の運動を亢進させる。よって2が正答となる。

過敏性腸症候群は自律神経反応に異常がみられ、交感神経活動の増加による腸管の運動抑制もみとめられるが、この症例では下痢型であるので、副交感神経の亢進が考えられる。

よって4は誤りである。

過敏性腸症候群は強い腹痛の後に粘液を大量に排出することもあるが、この症例は下痢についての記述があるので１は誤り。これは腸管運動の亢進によるもので、最も一致するのは2となる。