解説:
1:静止時振戦とは、じっとしている時(静止時)に手などが振える状態をいい、パーキンソン病で特徴的にみられる。パーキンソン病は、中脳黒質のメラニン細胞の変性萎縮および大脳基底核の病変による錐体外路系の変性疾患であり、振戦、筋硬直、寡動(無動)の3主徴を示し、進行すると仮面様顔貌、姿勢調節障害(前傾前屈姿勢、前方突進)などが起こる。手や指の振戦により、丸薬を丸めるような動作をすることがある。
2:甲状腺機能亢進症の代表的なものはバセドウ病であり、手指の振戦や眼瞼、舌等の振戦
がみられる。また、症状として眼球突出、輝眼や、そのほかに体温上昇、一般症状、循環器症状などの多くの症状が起こる。
3:多発性硬化症は、脱髄疾患(髄鞘の障害)の一つであり、小さな脱髄病巣が脳・脊髄に
散在性に存在し、小脳症状としては運動失調、構音障害、眼振、企図振戦が出現する。振戦は企図振戦であり静止時振戦ではない。そのほか、錐体路症状や眼症状、感覚障害、膀胱直腸障害等を生じる。
4:アルコール中毒でも動作時に振戦がみられることがある。