解説:
「2:原発性アルドステロン症」は、コン(Conn)症候群ともいい、腫瘍などの副腎皮質の病変によってアルドステロンの分泌が増加したものであり、高血圧をきたして、頭痛、めまい、動悸、睡眠障害を生じ、また、カリウム排泄促進により低カリウム血症となり、脱力感、四肢麻痺、知覚障害、テタニー、多飲、多尿などが起こる。高血圧は、慢性糸球体腎炎、急性糸球体腎炎および腎硬化症などの腎疾患でも起こる。
その他の選択肢は以下の通り。
- 「1:シモンズ病」は下垂体性悪液質ともいわれ、下垂体前葉機能不全の結果として起こった悪液質をいい、汎下垂体機能不全と呼ばれるものの1つと考えられている。女子に多く、副腎皮質の萎縮を伴い、易疲労性、歯牙の脱落をもって始まり、極度の脂肪消失、性器萎縮をきたし、皮膚は蒼白となり、体温、血圧は低下する。
- 「3:アジソン病」は、問題81で述べたように副腎の悪性腫瘍などの病変により機能が低下して副腎皮質ホルモンの分泌不足が起こって生ずるものであり、血圧は低血圧になり高血圧は示さない。
- 「4:粘液水腫」は、甲状腺自体に原因のある原発性甲状腺機能低下症のうち、成人になって発症するものであり、全身の代謝が不活発になるので、活動性の低下(不活発)、全身倦怠感、易疲労性、寒がり、めまい、嗄声(声がれ)、記憶力減退等が一般症状としてみられ、循環器症状として低血圧、徐脈などがみられる。