解説:
1:腰部脊柱管狭窄症は、先天性あるいは後天性の原因によって脊柱管の前後径や横径が減少して狭窄し、脊柱管内の脊髄や神経が圧迫されて種々の症状を呈するものである。脊柱管の狭窄は、変形性脊椎症による椎体辺縁の骨棘形成、椎間板変性による膨隆、後縦靱帯の骨化、黄色靱帯の骨化・肥厚、脊椎分離・すべりなどの周囲組織の後天的な病変によって起こることが多いので、高齢者に多い。
2:腰部脊柱管狭窄症では、一定距離の歩行で疼痛やしびれ、脱力などが生じるために歩行が不可能になり、休息すると再び歩行が可能になる間欠跛行が起こる。
3:脊柱管の狭窄により脊柱管内の脊髄や神経が圧迫されて症状が出現するので、下肢症状は両側に認められることが多い。
4:足背動脈の拍動の消失は、閉塞性動脈硬化症などの動脈の閉塞をきたす疾患で起こる。腰部脊柱管狭窄症は脊髄や神経が圧迫されるものであり、動脈閉塞は生じない。