解答:4
- 1.心内膜炎
- 2.大動脈弁狭窄症
- 3.狭心症
- 4.肺性心
解説:
1:心内膜炎では、発熱、悪寒、全身倦怠、筋肉痛、関節痛、心雑音などがみられるが、治療により治癒すれば心臓の肥大や拡張はきたさない。しかし、弁膜の炎症が続いて弁膜症に移行すれば、右心や左心の肥大や拡張が起こりやすい。
2:大動脈弁狭窄症は、リウマチ熱などによる弁尖の肥厚、融合、石灰化などによって弁口が狭窄し、左心室から大動脈への血液の流出が減少するものである。心拍出量を保つために左心室内圧が上昇し、肥大をきたす。右心室肥大はきたさない。左心室の代償作用がある間は無症状のことが多いが、進行すると易疲労性、労作時の息切れなどが出現し、重症になると失神、狭心痛(胸痛)、呼吸困難が生じる。収縮期血圧低下、脈圧減少が起こる。リンパ節腫がみられることがある。心臓弁膜疾患と右心室肥大との関係では、僧帽弁狭窄症との関連が深い。すなわち、僧帽弁狭窄症は、リウマチ性あるいは感染性の心内膜炎や動脈硬化症によって僧帽弁部の弁口の狭窄が起こり、血液の通過障害をきたして左心房から左心室への拡張期血液流入が障害され、左心房圧上昇、肺うっ血、右心室圧上昇、右心室肥大が起こる。また心房細動が起こりやすい。
3:狭心症は、冠動脈の狭窄による一過性の心筋虚血によって酸素不足が起こって、前胸部が締め付けられるような感じ(絞泥感)ないし疼痛を生ずるものである。症状は持続時間が短く、数分でおさまることが多い。階段を上がるなどの労作時に起こり、労作をやめるとおさまるもの(労作時狭心症)が多いが、安静時に起こるものもある(安静時狭心症)。症状は、ニトログリセリンの服用でおさまる。右心室肥大はきたさない。
4:肺性心は、肺線維症、肺気腫、気管支拡張症、塵肺、サルコイドーシスなどの慢性肺疾患や脊髄後側弯症などによって肺循環障害をきたし、呼吸困難、咳、痰などの症状を生ずるものであり、肺動脈圧は上昇し、右心負担のために右心室肥大、拡張をきたす。右寝室肥大は右心室圧上昇をきたす原因によって起こるので、僧房弁狭窄でも左心房圧上昇→肺うっ血→右心室圧上昇によって、肥大をきたす。