解説:
直腸性便秘の特徴は「排便を我慢することによる排便反射の減弱」であるため「3:排便の習慣をつける」が正解。
直腸便秘は便意の抑制が習慣的になされることで排便反射が減弱したものである。排便のリズムを崩すことなく、便意に従った排便習慣を取り戻すことが重要となる。
その他の選択肢は以下の通り。
「1:野菜中心の食事を摂る」「2:水分を多めに摂る」は、弛緩性便秘に対する生活指導。
便秘の種類は「器質性便秘」と「機能性便秘」「その他の便秘」に分類される。
器質性便秘
器質性便秘は、腸管に基礎疾患が存在することで起こる便秘を指す。
原因としては大腸癌、腸閉塞などが挙げられる。
機能性便秘
機能性便秘は、消化管検査で器質的異常がない便秘を指す。
機能性便秘は「弛緩性便秘」「痙攣性便秘」「直腸性便秘」に分類される。
種類 |
内容 |
疾患例 |
弛緩性 |
弛緩性便秘では、大腸筋層の機能低下が生じ、蠕動運動が障害され、大腸が弛緩し、糞便が大腸内に長時間とどまる。水分が過剰に吸収され、便が硬くなり、排便困難が生じる。 |
食物繊維の摂取量の減少が関与していると考えられている。 |
痙攣性 |
痙攣性便秘では、自律神経を介した大腸の緊張亢進により腸管の痙攣性収縮が起こり、糞便の輸送が妨げられ便秘となる。 |
「過敏性腸症候群の便秘型」が挙げられる。 |
直腸性 |
直腸性便秘では、直腸内に便が到達しても排便反射が弱く、便意を伴わないことにより便秘となる。 |
習慣的に便意を我慢、無視し続けることにあると考えられている(そのため、習慣性便秘とも呼ばれる)。 |
その他の便秘
その他の便秘としては「症候性便秘」「薬剤性便秘」が挙げられる。
種類 |
内容 |
疾患例 |
症候性 |
症候性便秘とは「内分泌疾患、膠原病、神経疾患などの基礎疾患が存在して生じる便秘」である。 |
糖尿病、甲状腺機能低下症、パーキンソン病などが挙げられる。 |
薬剤性 |
薬剤性便秘とは「薬剤の副作用による便秘」である。 |
向精神薬、抗うつ薬などの抗コリン作用を有する薬物や、下剤の乱用などが挙げられる。 |