解説:
1:狭心症は一過性の心筋虚血による胸痛症候群であり、敗血症は細菌による全身感染症で、菌力が極めて強くて個体の抵抗力が低下していることがその発症条件である。それ故、この両者に直接的な関係はない。
2:動脈瘤は、動脈管腔が限局性に拡張して瘤状を呈したもので、その病因の1つに梅毒があげられる。すなわち、胸部大動脈中膜栄養血管に好発する梅毒性血管炎で、その血管壁内に変性と瘢痕を来し、そのために弾性が失われることによって胸部大動脈に動脈瘤が生ずるわけである。
3:川崎病は、乳幼児に高熱が続き、頚部リンパ節が腫大するとともに、手足硬性浮腫、全身皮膚発赤、眼球結膜充血、皮膚粘膜移行部亀裂などがみられる病気で、その病因はまだ不明である。本疾患児では、全身の比較的太い筋型動脈から臓器内小血管に血管炎を併発するが、罹患後2週間以内にこれは瘢痕治癒に至る。しかし、5~10%の本疾患児で冠状動脈瘤が形成されて、後年、それによる突然死を来すことがある。
4:多臓器不全(MOF)とは、種々の侵襲によって生命維持を分担する重要な複数の臓器(心・肝・腎・肺・消化管・骨髄・神経系、血液凝固線溶系)が急速に機能不全に陥る病態をいう。ここでいう侵襲として、外傷、手術、重症感染、急性腹症、そしてショックなどが数えあげられている。なお、ショックは、原因が何であれ、末梢循環障害が生じることが引き金となって起こる血流不全であり、それが局所の代謝障害に移行することがショックにみられる病変の本態である。