解説:
生体内にあって本来その場所にみられてはならないものが存在する場合、それを異物と称し、体外から侵入したものはもちろん、体内でつくられた壊死病変・血栓・炎症滲出物などがこれに相当する。その処理には、異物そのものの質と量によって、それぞれの機構が単独に、あるいは同時に並行して営まれる。
1:排除は消化・吸収・融解・貧食などの機構によって進められ、最終的に異物は体外に除去される。
2:器質化は、異物排除が困難な場合に異物周囲から肉芽組織が形成され、それによって異物のすべてが置換処理され、最終的に線維化~瘢痕が局所に残る機序である。
3:被包とは、異物が多量で肉芽組織による置換処理が完全に行われなかったり、異物の性状が肉芽組織の侵入を許さない場合に、異物周囲に形成された肉芽組織が線維性被膜となって異物を包み、最終的に周囲との連絡を断つ機序である。
4:再生とは、個体の一部が欠失した際にその部位を元通りにしようとする機序で、通常、組織内異物の処理方法ではない。