解説:
1:多発性硬化症は脱髄疾患(髄鞘の障害)の1つで、小さな脱髄病巣が脳.脊髄に散在性に存在しており、錐体路症状、小脳症状、視力障害、感覚障害、膀胱直腸障害等を呈するものである。視力障害は視神経炎によるものでブドウ膜炎が原因ではない。
2:ブドウ膜とは、虹彩、毛様体、脈絡膜の総称であり、そこに炎症が起こったものがブドウ膜炎である。サルコイドーシスは、非乾酪性類上皮肉芽腫が肺および肺外の多臓器に生じる全身性疾患であり、原因は不明である。サルコイドーシスの患者では、ブドウ膜炎や網膜血管周囲炎による眼症状が最も多く、次いで呼吸症状や皮膚症状が多い。
3:梅毒はスピロヘータによる性感染症である。約3週間の潜伏期のあとの第1期(感染後3週間~3カ月)には、初期症状として半米粒大から碗大の初期硬結(淡赤色の硬い小結節)が感染局所に生じる。数日後に無痛性横痃(鼡径リンパ節腫脹)が出現する。第2期(感染後3カ月~3年)には梅毒性バラ疹、扁平コンジローマ、手掌や足底の紅斑、びまん性脱毛などが生じ、第3期(感染後3年~10年)には全身の臓器にゴム腫、梅毒性間質炎が出現し、第4期には脊髄癆、進行性麻痺または麻痺性認知症となる。また、肉芽腫性ブドウ膜炎を起こすことがある。
4:ベーチェット病では、口唇、頬部粘膜、舌尖、舌緑などの口腔粘膜や外陰部に疼痛を伴うアフタ性潰瘍が起こり、皮膚には結節性紅斑様発疹が生じ、関節炎、嘔吐、下痢などの症状がみられる。また眼にはブドウ膜炎や紅彩炎などが起こり、ときには失明に至ることもある。