解説:
1:肩関節周囲炎は、退行性変性を基盤とする肩関節周囲の軟部組織の炎症が起こったものである。
2:肩関節周囲の運動痛や安静時痛、時には夜間痛が起こる。挙上制限などの疼痛性の運動制限(関節可動域の制限)がみられ、更衣動作が困難となる。髪に手をもってゆく動作(結髪動作)や後ろで帯を結ぶ動作(結帯動作)が困難になるのも特徴である。
3:上腕二頭筋長頭腱腱鞘炎のテストであるヤーガソンテストが陽性となることがある。坐位で、肘90°屈曲位で前腕を回内させ、検者が患者の手首を握って加えた抵抗に逆らって前腕を回外させたとき、肩前面に痛みが起こったら陽性とする。
4:肩関節を動かさないで安静にしていると、関節包の癒着や周囲の筋の拘縮が増強して関節可動域の制限が進行するので、棒やアイロンなどを用いて肩の運動療法を行う。三角巾で安静を保つのは適切でない。