解説:
臓象学説に関する設問である。
1:「皮膚に潤いを与える」は、上焦の衛気を全身にめぐらせて皮膚を潤す働きによる。2:「体温を調節する」というのも上焦の働きで正しい。
3:「体液を心へ運搬する」というのは、心の作用によるものであり、誤り。なお、「体液を肺へ運搬する」という記述であれば、中焦気化であり、注意が必要である。
4:「衛気を全身にめぐらせる」というのは、上焦の作用であり正しい。
〔注〕三焦は水液の通路として水分代謝に大きく関与しているが、諸気を主宰し、全身の気機と気化作用を統轄している。上焦(横隔膜から上)では、衛気を全身にめぐらせて皮膚を潤し、体毛に栄養を与え、体熱を産生し、体温調節を行う。中焦(横隔膜から臍まで)では、飲食物を胃で腐熟させ、それによって生じる精気を営気と血として全身にめぐらせる。下焦(臍から下)では、糟粕から余分な水分を膀胱にしみこませる(尿を作る)ことである。