解答:3
- 1.慢性膵炎―背部痛
- 2.肝硬変―クモ状血管腫
- 3.胃潰瘍―喀血
- 4.クローン病―下痢
解説:
疾患名とその疾患に必然的にみられる症状との組合せである。
1:慢性膵炎とは、胃の裏側で腹膜のつくる網嚢を隔てて腹壁の後に位置する膵臓に、急性炎症の反復あるいは徐々に進行する間質性の炎症が発現するものである。
これにより背部痛を訴えることが多い。
病理組織学的には、膵外分泌腺房の萎縮・消失と間質の線維化と炎症性細胞浸潤を伴い、さらに膵管の拡張とその管壁上皮の増生・化生がみられ、また膵石も認められることがある。
2:肝硬変とは、肝全体にわたる慢性で進行性の線維症で、肝実質細胞の消耗と再生をも伴い、それらで肝小葉構造の改築が必発する病変である。
そのために肝臓に著しい循環動態異常が生じて肝機能低下、門脈圧亢進という病態を招来する。
肝硬変患者には門脈圧亢進に伴う側副循環として食道静脈瘤、臍部を中心とする浅腹壁静脈の怒張(メズサの頭)、直腸静脈瘤(痔核)などが発来する。
クモ状血管腫は、中央部に隆起した点状の血管がみられ、その部分から放射状に細い血管が周辺に伸びているという独特の形状を呈するもので、蜘蛛に似ているのでこの名称がある。
先天性に母斑性のものとして生じる場合と、後天性に特発性に生じる場合とがある。
また、妊娠や肝硬変などの基礎疾患があって発生することもある。
この際はクモ状血管拡張症がその本態であろう。
3:胃潰瘍は胃の粘膜筋板よりも下層に及ぶ粘膜組織欠損で、それに随伴する出血巣からの血液を口腔から排出する吐血ないし肛門からの下血をみることは多い。
しかし、肺や気道などから出血した血液を含んだものを口腔から喀出する喀血は、通常この際にはみられない。
4:クローン病は、若い年齢層に好発し、間欠性の下痢を伴うことが多い。
全消化管粘膜に非連続性に縦走潰瘍・裂溝そして敷石像などが肉眼的にみいだされ、組織学的に粘膜下層に小型で硬い反応像を示すサルコイドーシス様肉芽腫を認める。