解説:
1:乳癌は乳腺の癌であり、既婚者よりも未婚者に多く、わが国では閉経前の40歳代に最も多い。腫瘤は硬く、凹凸がある結節状であるが無痛性である。腋窩リンパ節、鎖骨下リンパ節などへのリンパ節転移や肺、骨(脊椎、大腿骨等)、肝、脳、皮膚などへの血行性転移をきたしやすい。乳癌の自己チェックは、乳房が柔らかく、触れてもあまり痛みを感じない月経開始から7~10日後の期間がよい。月経直前は適切でなく避けたほうがよい。
2:癌が皮膚の真皮層におよぶと乳房皮間の発赤、浮腫を生じて光沢を示す榿皮(オレンジの皮)様皮膚(豚皮様皮膚)がみられる。癌が皮下組織におよぶと皮屑のくぼみ(えくぼ様陥凹)やひきつれがみられる。そのほか、同側腋窩のリンパ節におよぶと腋窩に硬いしこりとして触れる。
3:癌が乳頭周囲まで浸潤すると乳頭が引っ張られるので、乳頭の平坦化や陥凹、および偏位などが起こる。したがって、乳頭位置の左右非対称の有無のチェックは必要である。
4:乳頭からの血性分泌物がみられることがあるので、有無をチェックする。