解説:
1:髄膜炎では、髄膜刺激症状、すなわち頭痛、項部硬直、ケルニッヒ(Kemig)徴候、ブルジンスキー(Brudzinski)徴候などを生ずる。項部硬直とは、頭頚部を前屈させると後頚部の筋の緊張が増して前屈に抵抗を示す、一種の防御反応である。
2:進行性筋ジストロフィーは、骨格筋自体に異常をきたした遺伝性疾患であり、体幹、四肢、顔面の筋や嚥下の筋の萎縮、筋力低下を生じて運動障害をきたし、時には心筋障害もきたす。筋には変性壊死と再生像がみられる。自律神経障害はきたさない。
3:脊髄空洞症は、頸髄を中心にいくつかの髄節にわたって脊髄中心部に空洞を生じる進行性の変性疾患であり、神経線維が交差して脊髄中心部を通る痛覚と温度覚(温・冷覚)は侵されるので消失するが、脊髄に入ってすぐに後索を上行する触覚の神経線維は侵されずに残る現象、すなわち感覚(知覚)解離が起こる。眼球運動は障害されない。
4:ウイルソン病は、肝レンズ核変性症ともいわれ、先天性の代謝異常によってセルロプラスミンが欠損し、無機銅の蓄積による小脳のレンズ核変性が起こり、また、肝硬変、角膜輪を生ずる。筋強直による歩行障害や言語障害、企図振戦、羽ばたき振戦などを生じる。アテトーゼがみられることもある。視神経萎縮は起こらない。