解説:
1:ランツ点は虫垂炎のときにみられる圧痛点であり、右下腹部で左右の上前腸骨棘を結んだ線上の右から当の部位にある。胃潰瘍では心窩部の疼痛と圧痛がみられる。
2:ブルンベルグ徴候は、急性虫垂炎において右下腹部にみられる反跳痛であり、左腸骨窩を強く手で圧迫しておいて、急にはなすと回盲部に疼痛が起こる徴候をいう。この徴候は局所に腹膜炎が起こっている場合にみられることが多い。腹腔内腫瘍ではみられない。
3:肝硬変では、障害された肝細胞を囲んで線維増殖が起こり、肝内血管系の圧迫によって血行障害をきたして肝細胞障害をさらに促進する。全身倦怠、易疲労、食欲不振、腹部膨満感、腹水、黄疸などがみられ、さらに特徴的なくも状血管腫、手掌紅斑がみられる。
4:イレウス(腸閉塞)は、腸が閉塞して内容物が通過できなくなったものであり、嘔吐、腹痛、腹部膨満、腸蠕動不穏などを生じる。しかし、蠕動不穏は麻痺で機能的閉塞をきたした麻痺性イレウスではみられない。