解答:1
- 1.アテローム硬化症
- 2.アミロイドーシス
- 3.痛風
- 4.尿毒症
解説:
1:アテローム硬化症は、弾性動脈や中等大の筋性動脈の内膜が侵される病変である。
内膜にコレステロールを主体とする脂質の集積巣を線維性組織で覆った限局性のアテロームが基本病変で、その発症要因として高脂血症・高血圧などが考えられている。
動脈内膜に血漿が浸淫することから始まり、浸淫された局所のマクロファージや平滑筋細胞に血漿中の低比重リボ蛋白がとりこまれて泡沫細胞として局在し、また蛋白も局所の細胞間に貯留する。
この肥厚した内膜に内皮細胞の壊死も伴うアテロームを形成し、これが崩壊すると周囲の結合織が増殖し、時に石灰化を伴う。
高脂血症がアテローム硬化症発現に関与していることは、
①アテローム病変が血漿リポ蛋白由来とみられるコレステロールやそのエステルを多く含むこと、
②血漿コレステロール値を上昇させる食餌で飼育された動物にアテローム硬化症が好発すること、
③高コレステロール血症を来す遺伝病の青年期症例にアテローム硬化症が頻発すること、
④血漿コレステロール値が265mg/dℓ以上のヒト集団では冠動脈アテローム硬化に起因する死亡率が有意に高いことなどから支持されている。
以上、アテローム硬化症は脂質代謝障害に基づく疾患である。
2:アミロイドーシスとは、血清由来のアミロイドとなりうる蛋白は通常そのままで分解されてしまうが、なんらかの原因で分解されないで細胞間で重合あるいは凝集して、アミロイド蛋白線維となって沈着する病態である。
アミロイドは単一物質ではなく、免疫グロブリンのL鎖由来のAL蛋白、由来不明のAA蛋白、プレアルブミン由来のATTR蛋白、β2ミクログロブリン由来のAβ2蛋白などと区別されている。
形態的所見として、①H-E染色で紅<均質に染まる、②コンゴレッド染色で桃色に染まるが、それは偏光顕微鏡下で緑色の複屈折性を示す、③電顕下では幅8~15nmの分枝しない2本の細線維が細胞外に集積したものとして認められるが、この組織切片のプロナーゼ処理でこの細線維構造が消失するなどが認められ、それでアミロイドと判定されている。本症は蛋白質代謝障害である。
3:痛風という病態は、尿酸の過剰産生と腎の尿酸排泄低下で誘発される高尿酸血症が持続し、その結果、尿酸塩結晶が関節部や皮下組織.腎に析出し、急性関節炎や腎障害として発現する。
尿酸塩結晶は生体にとって異物であり、局所に肉芽腫反応(痛風結節)が生じることが主発症要因である。
要するに、痛風は尿酸代謝障害によるものである。
4:尿毒症とは、腎機能不全状態に、他の組織器官(中枢および末梢神経.関節・胃腸.肺・心・皮膚・血液・骨・眼など)に併発した病変による症状が加わったものである。
これらの症状発現のための原因物質(尿毒症毒素)が想定されており、それによる各器官組織の血管内皮細胞傷害の結果であろうと考えられている。
それに古くから尿素窒素が問題にされてきたが、その意義は未だ明らかでない。
近年、グアニジン誘導体の産生が尿毒症発現に伴い亢進し、その産生に活性酸素が関与していることが指摘されている。
いずれにしても、脂質代謝異常のみが尿毒症の主因ということはない。