解説:
ショックとは、原因が何であれ、末梢循環障害が生じることを引き金とする進行性の低血圧状態をいう。
それは血流不全、ついで組織細胞の酸素欠乏による代謝障害に移行する。
1:熱傷により局所で組織崩壊と共に炎症細胞からケミカルメディエーターで血管透過性亢進が起こり、大量の水分と蛋白が血管外へ漏出し、加えて表皮欠損からも生体外へそれらが失われることで、血液濃縮・循環血液量低下を招来する。いわゆる熱傷ショックである。
2:心筋梗塞では、その発生部位を病変と広がりの程度によって心拍出量減少をきたして、いわゆる心源性ショックを併発する。
3:敗血症とは細菌による全身感染症の病態で、菌力がきわめて強くて患者の抵抗力減弱が条件でショックとなる。すなわち、細菌のエンドトキシンによりマクロファージがサイトカインを産生し、免疫関連細胞を活性化するほかに、血管内皮細胞に作用して末梢循環不全となるからである。
4:急性糸球体腎炎では、急性に発症する蛋白尿・血尿・高血圧・高度の浮腫などがみられ、糸球体血液ろ過量低下および水分ナトリウム貯留が生じるが、通常、ショックを併発することは少ない。