解説:
ヒトの腸腫瘍の頻度については、上皮性のものは大腸で高くて小腸で低い。とくに、癌腫は大腸に多くて小腸で少ない。非上皮性のものは腸では稀であるが、その頻度は小腸で高くて大腸で低い。癌腫について部位別に詳細にみれば、空腸には稀で、回腸ではその末端部にみられることがやや多い。十二指腸では、乳頭部にみられ、その前後の部位のものに比べて多い。わが国の大腸癌発生頻度は欧米のそれに比べてはるかに低いが、近年増加傾向が著しく、その死亡率・罹患率ともに上昇している。大腸癌のうちでは、直腸癌が最も多いが、ついでS状結腸癌の増加が目立つ。