解説:
がんの発生は加齢と深く関係しており、小児がんは除き、がん発症は高年齢層に多い。それで一般には40~70歳をがん年齢層と呼んでいる。現在の統計では、前立腺癌のみが加齢に伴い増加している。がん死亡率でみると、日本では多くのがんはある年齢層にピークを示した後で減少する傾向にあったが、最近では、欧米と同じように年齢に伴って上昇し続けるようになった。
1:次第に減りつつある子宮頸癌の好発年齢は40~50歳である。
2:増加傾向が目立つ乳癌では、日本でも更年期後肥満者の乳癌がよくみられるようになり、現在、乳癌の好発年齢は50歳代とされている。
3:前立腺癌の発症は40歳以後年齢が進むとともに次第に増加している。臨床的に正常と思われている40歳以上のヒト前立腺に、顕微鏡レベルで異型増殖像と診断されるラテン卜がんが日米ともにかなり観察されている。しかし、臨床的に局所症状のあるものは最近日本では50~70歳で増えており、それによるがん死亡率も70歳以上で上昇している。
4:甲状腺癌の好発年齢については、その組織型と若干関連している。すなわち、乳頭癌では30~60歳、濾胞癌では30~60歳、髄様癌では40~60歳、未分化癌では50歳以後とされている。