解説:
1:偽膜性腸炎は、偽膜形成を特徴とする細菌性大腸炎であり、クロストリジウムにより起こる。
クロストリジウムはグラム陽性嫌気性細菌で、通常10~30%のヒトに腸内常在菌の1つとして存在するものである。
本菌に感受性を示さないような抗生剤連用が原因で菌交代現象が起こり、本菌が異常増殖することで発病するが、臨床的に本菌が病変部から必ずしも検出されるとは限らない。
2:クロイツフェルト・ヤコブ病は成人にみられ、錐体路および錐体外路症状をしばしば伴う、急激に進行する痴呆症である。
本病は散発的に発生するが、ヒトからヒトへの感染が報告されており、少ないが家族性や医原性に発生することもある。
多くの本症例での感染源は不明である。
この感染因子は非常に小さくて、物理的、化学的な要因に対してきわめて強い抵抗性を示す。
それについては、被包性ウイルスだとか、新しい蛋白質粒子であるプリオンだとかが考えられている。
大脳の本病変として、広範な萎縮がみられ、いわゆる海綿状態といわれる病変を認めるが、炎症反応はほとんど見いだし得ない。
3:ヘリコバクター・ピロリは、ヒト胃粘膜に存在するらせん状桿菌で、4~6本の鞭毛をもち、ウレアーゼを産生分泌する特性で、強酸性環境でも生存できる。
従来、慢性胃炎の一因とされていたが、本菌除去療法の成績から胃・十二指腸潰瘍の発生・再発に強く関係していることが臨床的に明らかとなった。
また、胃癌発生率と本菌感染率に相関があることも最近疫学的に指摘されている。
4:クラミジアは、細胞内に寄生する0.8~1.5μmの球状の病原微生物である。
この主な感染症はトラコーム、オウム病である。
梅毒の病原体は0.2×5~15μmのらせん状に長いスピロヘータの1つであり、クラミジアではない。