解答:3
- 1.多発性筋炎
- 2.橋本病
- 3.2型糖尿病
- 4.シェーグレン症候群
解説:
免疫反応の基本は、自己と非自己との判別であり、免疫系が生体維持の前提において自己に反応しないことである。
この自己に対する寛容のために、生体内で自己に対して反応するリンパ球は消滅するか、あるいは残ったリンパ球の自己への反応性が抑制されることが肝要である。
この機序の詳細が判明しているのはTリンパ球である。
すなわち、未熟なTリンパ球が胸腺で発育分化するが、そこで自己反応性T細胞の多くは殺されて生体から消滅する。
その消滅に加えて、T細胞の自己反応性も強く抑制されるようである。
しかし、ある病的状態では自己に対するいろいろな免疫反応が起こり、このために自己組織がこの機序で傷害されるようになる。
これが自己免疫疾患である。
1:多発性筋炎は自己免疫機序により発症する筋炎で、5歳以下の幼児と30~50歳の成人に好発する。
筋肉痛と筋力低下を発来し、血中にクレアチンフォスフォキナーゼ(cPK)の上昇がみられる。筋肉組織内への高度の炎症性細胞浸潤が特徴で、筋細胞に壊死や再生像が認められ、筋線維には大小不同がみられる。
2:橋本病は、自己免疫機序で発症し、中年女性に多い。
患者の血中に抗サイログロブリン抗体や抗ミクロソーム抗体が陽性となる。
甲状腺は腫大しており、リンパ球、形質細胞の高度の浸潤とともに、リンパ濾胞形成をもみることが組織学的特徴である。
濾胞上皮は好酸性変性を示してかなり脱落するが、それへの反応性線維化もみられるようになる。
3:2型糖尿病は、全糖尿病患者の9割を占め、主にインスリンの作用障害による相対的インスリン不足が発病要因である。
それ故、インスリン非依存性のものであり、インスリン注射による治療をしなくともケトーシスに至らないタイプである。
本症発生に多因子的な遺伝が重要な役割を果たしており、中年発症で肥満患者に多い病気である。
症状として、口渇、多飲、多尿、易疲労感などがあげられ、最もしばしばみられる合併症の本態は血管病変である。
2型糖尿病のうち、A型の発病過程に自己免疫は関与していないが、成人女性に多いB型では抗インスリンレセプター抗体が関与しているようで、この際、他の自己免疫病も併発していることが多い。
1型糖尿病は膵島のβ細胞障害でインスリンの絶対的不足で発病する。
その発病過程に膵島細胞に対する自己抗体が介在する膵島炎がみられ、その場合の発生要因として、現在、自己免疫性破壊、遺伝的因子、ウイルス感染の3つが想定されている。
4:シェーグレン症候群は、中高年の女性に多〈みられ、乾燥性角結膜炎、口内乾燥症、耳下腺腫脹、多発性関節炎、乾燥性鼻炎、咽頭炎などがみられる症候群である。
その原因に自己免疫機序が想定されており、膠原病のような自己免疫疾患と合併していることも多い。
上記した病状をもたらし得るような腺組織内、特に耳下腺に、その導管の破壊、腺上皮・筋上皮細胞増生がもたらす島形成とリンパ球びまん性浸潤がみられる組織学的特徴も記載されているが、必発のものではない。