解説:
加齢は物理的な時間の流れとともに生体がなんらかの変化を起こしていくことをいい、老化は一旦成長した生体が加齢とともに機能減退、形態変化を示しつつ衰退していく現象をいう。
このように加齢と老化は生物学的には異なる定義を持っているが、医学の世界では同じような意味で使われることが多い。
加齢に伴う老化は遺伝的基盤により規定され、避けることのできない恒常的な変化である。
そのため、構成細胞の変性、脱落による臓器実質細胞数の減少がみられ、結合織蛋白の変化、線維化などによる間質組織の硬化、さらには実質細胞内に消耗色素の蓄積がみられる。
その他、免疫能低下、自己抗体出現、遺伝子突然変異増加なども老化にみられる。
それらの結果として老人病が発現し、運動器では骨多孔症(骨粗殺症)、変形性関節症、筋萎縮などがみられる。
この際、軟骨・骨組織の再生は、反応性に若干散発することもあるが、加齢による本質的な変化ではみられない。