解答:1
- 1.クローン病
- 2.偽膜性大腸炎
- 3.潰瘍性大腸炎
- 4.細菌性赤痢
解説:
大腸を主座とする慢性炎症性疾患のうち、本題に取り上げられたものは最近増加傾向にあり、治療のためにも鑑別診断を必要とする重要なものとされている。
1:クローン病はいまだ病因不明で、最も一般的には小腸が侵されるが、腸管のどの部位にも発生しうる全腸的なもので、本病患者の昔では大腸にも病変を認める。
この肉眼的病変は分節性で飛び石状病変と呼ばれている。
初期は小さく、不連続で浅い潰瘍をみるが、その後に深い裂溝へと進行し、縦走潰瘍の多発、腸壁の肥厚、帯状の裂溝がそろって初めて典型的な敷石像となる。
組織学的には、腸に全層性の貫壁性慢性炎症像をみるが、症例の6割に肉芽腫性病変を認める特徴があり、本病診断の強い根拠となる。この病変は、非乾酪性サルコイドーシス様類上皮細胞肉芽腫であり、サルコイドーシスにみられるものと比べると、それはさらに小型で組織球増生も弱々しい。
2:偽膜性大腸炎は偽膜形成を特徴とする細菌性大腸炎であり、腸内に常在するクロストリジウムが起炎菌と考えられている。
抗生物質投与後の腸内細菌叢の菌交代現象として生じることが多い、一種の医原性疾患である。
その組織像としては、陰窩の拡張.粘液貯留、粘膜表面への樛出物や粘液の噴水状放出、そしてフイブリン・崩壊粘膜上皮からなる偽膜形成などがみられる。
肉芽腫性病変はみられない。
3:潰瘍性大腸炎は、地球上で気候の温和な地域にみられる下痢症の最も一般的な原因であり、それには血液、粘液、膿の排泄を伴っている。
通常、直腸に始まり、口側にむかって連続して広がるが、本疾患は主に大腸に限局する。潰瘍は浅く、融合性のもので、その組織像は、急性炎と慢性炎でみられる浸潤細胞の混合した炎症細胞群の病変が、粘膜や粘膜下層にびまん性に出現する。
とくに、膨脹拡大している陰窩の中に好中球が浸潤集積している陰窩膿瘍が目立つ。
また、本病は前がん病変としても知られており、上皮細胞異型性をみることもあるが、肉芽腫はみられない。
4:細菌性赤痢は赤痢菌感染による大腸炎である。
起炎菌として4群が知られており、今日わが国では病原性の弱いB群、D群が多くみられ、四季を通じてその発病は絶えることはない。
A群で最も典型的病変をみるが、赤痢菌が結腸粘膜下に侵入し、高度な症例では偽膜性壊死性病変(ジフテリア性赤痢)を呈し、さらに広範な潰瘍をつくり、強い出血も来す。しかし、一般的にはカタル性炎のものが多くみられ、時にリンパ組織に小壊死をも伴う増生像を示す漁胞性赤痢となる。本病には肉芽腫性病変はみられない。