解説:
1:尿崩症は、1日尿量が4ℓ以上で、尿比重が1.006以下となった病態である。
その発症機序から、バゾプレッシン(抗利尿ホルモン、ADH)の下垂体後葉からの分泌が減少する中枢性のものと、腎尿細管の水再吸収が障害された腎性のものとに2大別される。
2:クッシング病は、下垂体の病変で副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)産生分泌の過剰に基づくものである。
糖質コルチコイドの副腎皮質からの慢性過剰分泌やこのホルモンの外来性長期投与(医原性である)などで発来するクッシング症候群を示す疾患の1つである。
本症候群にみられる病態は中心性肥満、高血圧、性腺機能異常、皮膚線条などである。
3:バセドウ病は、メルセブルグ三徴(すなわち甲状腺腫大・眼球突出・甲状腺ホルモン過剰)のほかに、頻脈、動悸、息切れ、多汗、やせなどの症状を示す病態である。
甲状腺刺激ホルモン(TSH)の抗体に関する自己免疫疾患と考えられている。
4:褐色細胞腫は、神経冠由来のクロム親和性細胞の腫瘍で、副腎髄質に好発し、カテコールアミンを産生分泌する腫瘍である。
本腫瘍塊をクロム酸塩含有固定液で処理すると、カテコールアミンが酸化重合された結果、固定された腫瘍は肉眼的に褐色調を呈するようになる。
このホルモン過剰で高血圧、頭痛、発汗過多、代謝亢進などの症状が出現する。
アルドステロンは副腎皮質から産生分泌される鉱質コルチコイドで、褐色細胞腫との組合せは誤っている。
関連記事⇒『臓器別!ホルモンの名称と、その作用(分泌異常で起こる疾患も!)』