この記事では、指圧手技の中で撫擦法について解説していく。
あん摩手技の「軽擦法」と比較して記載しているので、違いが分からない人も是非観覧してみてほしい。
撫擦法とは
撫擦法とは以下になる。
ただし以下の主張がある点も、念頭に置いておこう。
撫擦法をイラストで紹介(軽擦法との違い)
ここから先は撫擦法をイラストも交えて紹介していく。
撫擦法も軽擦法も「手掌を体表に当て、撫で擦るように移動する」のだが撫擦法には以下の特徴がある。
- 肩・肘・手関節を一直線上にする。
- 上肢が体表に対して垂直な状態のまま移動させる。
実際にやってみると、手掌全体に均一な圧が入っていなかったり、移動中に圧にむらが生じてしまったりと難しいので練習が必要。
実際に受けてみると「上手な人」と「そうでない人」の違いが分かりやすいので、自身も受けながら練習するのが上達のコツになる。
砂場に1cm手掌を沈めた状態で、その圧を最後まで(一定に)持続させながら移動させるイメージ。
「身体へ触れた際の圧」よりも「移動中の圧」の方が弱くなりやすいので、この点に注意すると上達しやすい。
あとは、相手にフィードバックをもらいながら数をこなしていこう。
あん摩の「軽擦法」について
「あん摩」や「マッサージ」で施行する『軽擦法』は、撫擦法と以下の点が異なる。
- 肩・肘・手関節を一直線上にしなくても良い
- 上肢と体表の角度は、常に変化しても構わない。
ただし、「手掌全体が密着出来ている」「移動中も圧にムラが無い」という点は共通している。
撫擦法・軽擦法のどちらを選択しても良いが、最初と最後に用いる頻度の高い手法であるため、マスターしておく必要がある。
終わりに
この記事では撫擦法について解説してきた。
一見すると「指圧の撫擦」のほうが「強い圧」なイメージがあるかもしれない。
しかし実際は、「あん摩マッサージの軽擦の圧」の強弱には多様な意見がある。
そして、強弱の判断は相手の症状や反応によっても正解も異なってくるので、時には「多少強めに軽擦する(強擦に近い)」という考えもある。
また、前述したように効果としては類似していると言われているため、結論どちらを選択しても良い(練習して得意になった方を使おう)。
そして実際は、あん摩・指圧などをミックスして、創意工夫の上で臨床が成り立つ。
「あん摩と指圧をミックスしてはいけない」というルールは無い(クライアントの症状が改善されて、満足してもらえればよい)という点も覚えておこう。
今回は学術的な意味で「撫擦と軽擦の違い」を取り上げたが、実際は臨機応変に考えよう。