1895年、オステオパシーによってすべての治療をするという主張が少なくなった時代、青果商で磁気療法を学んだDaniel David Palmerがカイロプラクティックを創設した。
カイロプラクターの中には、マニピュレーションの発見はPalmerによるものであると支持した。
しかし、これまでの徒手療法の歴史を見るとわかるように、Palmerが自身の本(1910)で述べた「The Chiropractor’s Adjustor」は新しいものではなく、医学従事者から学んだものであったことがわかる。
Palmerの執筆した本には以下のように記されている。
このように、カイロプラクティック・マニピュレーションの基礎は、従来の医学から学んだことにあった。
興味深いことに、HippocratesとGalenが脱臼した椎骨を最初に整復した人物であると確認したのはPalmerであった。
Jane、HouserそしてWellsによって定義されたカイロプラクティックの理論的根拠は、以下の通り。
- 椎骨は亜脱臼する
- 亜脱臼した椎骨は椎間孔を通っている神経・血管・リンパを圧迫する可能性がある
- その結果、脊髄、脊髄神経、自律神経の相当するレベルは障害され神経伝道障害を受ける
- 神経支配を受けている器官は異常な状態となり、病気となる、または病気にかかりやすくなる
- 亜脱臼した椎骨の整復は椎間孔での組織の圧迫を除去し、異常となった部位に正常な神経支配、そして機能を回復させる。
カイロプラクティックの異常の理論は「神経の法則 The Law of the nerve」として有名となった。
カイロプラクティックが「マニュピレーションにより全てを治療することができる」と主張して以来、正当な医学の標的とされた。
しかし、1970年 National Institute of Neurological Disease and Stroke後援の脊柱マニピュレーション療法の研究についての学会がワシントンで開催され、このときカイロプラクティックは亜脱臼の定義を「現在知られている脊柱の機能不全を含む」と改定した。
この定義の改定により、カイロプラクターは保険の適当となった。
現在最も大規模となったカイロプラクターの養成校2校 Life in AtlantaとLife in Califoruiaを中心に、すべての学校で伝統的理論を教育している。伝統的理論だけでなく、関節運動を重視する理論も取り入れるようになったのは1975年のNational Institute of Neurological Disease and Stroke会議からである。
現在、伝統的なカイロプラクティックと「mixer」と呼ばれる今日の理学療法の考えを混合したカイロプラクティックが存在するが、多くのカイロプラクターがmixerとなってきているため、伝統的なカイロプラクティックは衰退してきている。
※ここでいうカイロプラクティックの歴史は米国におけるものを指している
※ここでいうマニュピレーションとは「洗練された関節への他動運動 the skilled passive movement to a joint」を指している