国家試験直前になっても、東洋臨床論が苦手な人は多いはず。
かといって、他にも覚えることが多すぎて、試験直前には東洋臨床論まで手が回らない。
そんな国試直前には「とりあえず関連キーワードだけ覚える」というのをおススメする。
例えば症例問題で以下のような設問が出題されたとする。
○○歳男性。最近仕事が忙しくてイライラするようになり、脈は弦。
上記は、「イライラ」「弦脈」というキーワードから、肝病証だと推察できる。
国試直前なので、理屈は脇に置いておき「とりあえずキーワードから問題を解いていく」という戦略でかなり点数が稼げる。
特に以下の人は東洋臨床論は苦手なはずだ。
- 西洋医学的な論理的な臨床推論が好き。
- 卒後に東洋的医学な思考で施術しようとは考えていない(西洋医学的な思考での施術を考えている)
かくいう私も、東洋医学的な考えでの施術は苦手だ。
しかし、キーワードさえ掴めていれば、国試レベルであればメチャクチャ高得点が狙える(卒後は全く役に立たないと思うが)。
是非、「国試直前になっても東洋臨床が苦手で問題が解けない」という人は、ここに記載されているキーワードを参考にしてみてほしい。
注意点:
「このキーワードが出たら、国試的に間違いなくコレが正解」というものから「このキーワードが出たら、国試的にコレが正解な可能性が高い」というものまで幅がある例えば「腎病証」のキーワードは「高齢」・「腰~下肢症状」というキーワードと関連しやすいが、これらキーワードを含んだ問題だからといって、100%腎病証が正解とは限らない(高齢+下肢症状を修していても、「イライラ+弦脈」というキーワードも付随していたなら、肝病証の可能性の方が高い。。この点に関しては、「キーワードと国試過去問とを照らし合わせること」で、何となく理解できてくるはず。
とりあえず、苦手意識をなくすためにも「キーワードを眺めながら、東洋臨床過去問を解く」というのを繰り返してみてほしい!!
国試の東洋臨床問題で使えるキーワード集
国家試験は「症例を提示して、それに関連する設問に回答する」という問題が多くなっている。
これは「東洋医学を、より臨床に即して活用出来るようになること」が目的とのころ。
迷惑な話である。
しかし、そんな事を言ってはいられない。
そのため、最低限覚えておいた方が良いキーワードを記載おく。
- 「腰」「下肢」に関連する語句は、まずは「腎」を疑う。
- 「食欲不振」「腹部膨満」など腹に関係する語句は、まず「脾胃」を疑う。一方で、「食べても食欲が減らない」は「胃(消穀善飢)」を疑う。
- 「口が苦い」「口苦」「ため息」「胸脇苦満」「脇痛」は、まず「肝・胆」を疑う。
- 「怒り」「イライラ」「ストレス」は、まず「肝・胆」を疑う。
- 「梅核気=喉のつかえ」は「肝」である。
- 「脈弦」「弦脈」は、ほぼ「肝」である。
- 「滑脈」は「湿(や痰飲、食積、湿証、実熱)」である。
- 「濇脈」は「血(血瘀や血虚)」である。
- 「脈細数」は「陰虚(や血虚)」を考える。
- 「(痛みで)寝返りが出来ない」は「胆」である。
- 「40歳以上」は、まず「腎虚」を考える。
- 「呼吸苦」は「肺」をイメージしやすいが「腎(の納気作用の低下)」でも起こる(例:顔が黒ずんで呼吸が苦しくせき込む⇒五行色体での黒⇒腎が答え)
- 「吃逆=しゃっくり」は「胃」である(粛降作用が悪くなり、上にあがってしまう)
- 「噴嚏(ふんてい)=くしゃみ」は「肺」
- 「冷え」は「陽虚症」。
- 「出産後症状」は、まず「血虚」「腎虚」を疑う(精を子供に分け与えるこによる)。
- 「舌苔黄膩(読み方:ぜったいおうじ)」は「湿熱」を考える。ちなみに「黄苔(おうたい)」は「実熱証」でみられる。
- 「健忘」は「腎・心」と関連が深い(腎はイメージしにくいので注意!)。
- 「無汗」は「肺」を疑う(宣発作用の低下により「腠理の開闔=汗の調整など」が難しくなる)。ちなみに「自汗は気虚」「盗汗は陰虚」である。
- 「栄気を蔵す」のは「脾(血に気をめぐらすために統血作用が必要)」。栄気は後天の精から得られ、水穀の精気とも呼ばれる(先天の精から得られるのは原気)。ちなみに、津液・血の形成にかかわる気の作用は「気化作用」である(気化というと蒸発といったイメージがあるが、それは違うということ)。
- 「痰飲」は「実証」である(痰飲は「体内の水分の流れが失調したことにより身体のどこかの部位に停滞したことによって発生」する病証と解釈)。
- 「難聴・耳鳴り・眼尻から頬にかけて痛み」は三焦経・胆経(「耳鳴りのみ」であれば、五行色体の「目・舌・口・鼻・耳」という考えから腎も当てはまる)。
- 「顎の腫れ」「頚がまわりにくい=振り返れない」は小腸経。
- 「下痢」は「陽虚」でも起こるが、「臭いの強い下痢」は「湿熱」が原因。脾腎陽虚の五更泄瀉も下痢。
- 虚証は「体全体に力が無い状態」である。汗に関しては衛気の力が弱っているので自汗になる(腠理の開闔を閉じる力が無くなり、汗が漏れる)。大便に関しては脾胃の力が弱っているので下痢になる。小便に関しては腎の力が弱っているので頻尿になる。虚証は喜按(実証は拒按)。
- 陰虚では「五心煩熱・盗汗・潮熱・口渇・舌質紅・脈細数」。
- 気虚の症状は「息切れ(=短気・太息・嘆息)」「倦怠感」「自汗」「物忘れ」である。これに冷えが加わると陽虚になる(つまり陽虚は、気虚が進行した状態)。
- 気滞の症状は「脹痛(脹ったような痛み)」「イライラ or 抑鬱」「飲食の失調」である。気滞とは「気の流れが悪くなり出現する病証」のこと。例:肝鬱気滞など
- 瘀血の症状は「刺痛(固定性の刺すような痛み)」「チアノーゼ(紫色)」「腫瘤(しこりのことで特に腹部に感じられ、痛みを伴う)」「少腹急結(左下腹部の硬結・疼痛)」の他に出血などが挙げられる。
- 痛みは「脹痛⇒気滞」「刺痛⇒瘀血」「酸痛・隠痛⇒虚証」「重痛⇒湿邪」は必ず覚える(脹痛と重痛を混乱しないように)。
- 津液の代謝に関与するのは「脾・肺・腎」である。
- 奇恒の腑は「骨・髄・脳・脈・胆・女子胞」である(心包は×)。
- 風邪の特徴は「百病の長」「発病が急・移動性・変化が早い」「陽性の邪」「肝を侵す(肺をイメージしがちだが、五行色体では肝!)。「例:あちこち痛い・治ったかと思えば痛くなる」
- 湿邪の例は「重怠い痛み」「雨の日に痛みが増悪する」「体重節痛(湿邪が関節に滞って関節が痛み腫れること)」。
- 寒邪・寒証は下痢(寒い日に増悪する・手足が冷えるはイメージしやすいが下痢はイメージしにくいので注意)。⇔熱証・実証は便秘。
終わりに
これらキーワードが記載していないかを確認しながら国試過去問を解いていくと、格段に問題が解けるようになっていることに気づくだろう。
個人的には、この戦略で(東洋臨床は苦手にもかかわらず)比較的の好成績をたたき出している。
※以下は、2月17日に行われた、学校の最終模試。
この戦略で東洋医学への苦手意識が克服できたなら、以下の記事も合わせて観覧し、更に点数を稼げるようにしてみてほしい。
※あくまで余裕があるなら。
関連記事
以下の記事は「東洋医学全般のまとめ記事」となる。
⇒『国試直前!東洋医学概論が苦手な人は、コレだけ覚えろ【イラスト付き要点まとめ】』
以下の記事は整形外科テストの一覧となる。
こちらは西洋医学であるものの、「整形外科テスト+東洋医学キーワード」を使った問題も増えている。
内容としては「どちらかというと、国試レベルというより臨床でも使えるレベル」として若干深い内容(=蛇足が多い内容)であり、「堅苦しい言い回し」を使って解説してしまっている(どちらかというと新人療法士レベルをターゲットとした記事となっている。)。
ただし、整形外科的テストを覚えておくと「臨床各論」「経絡経穴」「東洋臨床」と幅広い分野で点数が稼げるようになるので、余裕がある人は観覧してみてほしい(イラスト・動画も添付しているテストが多いので、「字面だけ」よりも記憶として定着しやすいと思う)。