訪問マッサージまとめ

制度・社会情勢

この記事では、あん摩マッサージ指圧師の卒後進路の一つである「訪問マッサージ事業」に関して解説していく。

 

訪問マッサージとは

 

訪問マッサージの定義は以下になる。

 

訪問マッサージとは:

関節拘縮、筋麻痺などの症状または傷病で、医療上マッサージを行う必要とする患者に対して、緩和を目的として、居宅にて行う施術。

 

上記の定義は、あくまで施術療養費が適応する場合の「訪問マッサージ」の定義となる。つまりり「医師の同意書(訪問マッサージが必要な患者であるとの証明証」が必要となる)。

一方で保険を用いなければ、同意書は不要であり、どのような対象者であっても訪問しての施術は可能なので誤解なきよう(施術者とクライアント間の合意があればOK)。

 

以降の記事内容における「訪問マッサージ」は、全て「施術療養費の支給対象(健康保険対象)である方に対する訪問マッサージ」を指している点に注意してほしい。

 

マッサージとは皮膚に直接施術することにより、主に静脈系血液循環の改善やリンパ循環の改善を目的とした手技療法

 

マッサージ効果の7項目は以下の通り。

  • 関節拘縮と筋委縮の予防と改善
  • 疼痛の緩和
  • 血液やリンパの循環改善
  • 心肺機能の改善
  • 内臓諸器官の機能改善
  • 残存機能改善と維持
  • 心理的効果⇒結構重要だと先生は話す。

 

ちなみに「訪問マッサージ」というサービス用語になった経緯は不明だが、あん摩・指圧を適宜クライアントに用いても良い。

ただし、(保険適応な)訪問マッサージのクライアントは寝たきりレベル・あるいは虚弱高齢者が対象なので、あん摩・指圧の強度には十分注意しなければならない。

 

 

 

訪問マッサージの対象者(療養費の支給対象者)

 

厚生労働省は「マッサージ療養費の支給対象(いわゆる健康保険適応者)」に関して以下のように述べている。

 

マッサージの療養費支給対象は、一律に診断名によることなく、筋麻痺・関節拘縮等であり医療上の必要性が認められた場合(医師の同意書が発行された場合)に適応される。

 

ポイントは以下になる。

  • 「診断名では、対象者かどうか決まらない」という点
  • 対象者かどうかは(本人や施術者ではなく)医師によって決められるという点

 

ただし、これは「マッサージ療養費の支給条件」であって「訪問マッサージの支給条件」ではない。

 

訪問マッサージにおける療養費の支給条件は以下が追加される。

 

対象者が歩行不能あるいは歩行困難であること。

 

ここまでの内容をまとめると、訪問マッサージの適応者は以下だと表現できる。

 

歩行不能あるいは歩行不能なクライアントであること(疾患名は問わない)。そして医師が、医療上のマッサージが必要と判断すること(そしてマッサージの同意書を書いてくれること)。

 

 

歩行不能・歩行困難って、どんな状態を指すの?

 

先ほどの「マッサージ療養費の支給対象」の部分で「関節拘縮・筋筋麻痺または傷病で・・」などと記載してあったが、例えば関節拘縮でも活動性はピンキリ。

 

寝たきりな人もいれば、症状は辛くとも買い物へひとりで行ける人もいる。

 

そして前述したように、訪問マッサージの対象者は「歩行不能・歩行困難」という条件が必要なので、結局のところ(脳卒中・パーキンソン病という診断名はもちろんのこと、拘縮・麻痺・病傷があったとしても)、「歩行不能・歩行困難」でなければ対象外だ。

 

では「歩行不能・歩行困難」とはどのような状態を指すのだろうか。

 

「歩行不能」は、文字通り「歩行が難しい人」であり「車椅子でしか移動できない人・ベッドで寝たきりな人」などがイメージしやすいと思う。

 

問題は「歩行困難」という用語。

 

これは、実際の保険適応対象者を選定する際、大きく幅を持たせて解釈されているようである(判定する人によって保険適応にも非適応にもなりうる、いわゆるグレーゾーンな人々)。

 

 

では、クライアントあるいは家族から「医療保険を利用した訪問マッサージに来ることは可能か?」と聞かれた際における適応かどうかの目安は以下になる。

 

例えば以下な場合は、判定者の解釈により保険適応にも非適応にもなりえる。

  • 「杖を使ったら歩ける」程度なら歩行困難ではないが、「多点杖を使わなければ歩けない」のであれば歩行困難に適応だろう。
  • マンション室内では何とか歩けるが、外出するだけの歩行能力が無いから適応だろう。

 

歩行困難の目安:

補助具(杖以外)が無ければ歩行できない状態

 

結局のところ、訪問マッサージの適応か(医療保険が適応可能か)は医師が判断するため、上記の目安を伝えたうえで、該当するなら医師に診察してもらうという流れになる。

 

診察の結果、セラピスト的には適応だと感じるクライアントが非適応になるケースもあれば、医師からは恐らくOKが出ないだろうと思われるケースが適応になるケースもある。

 

医師から訪問リハビリ適応だと判断された場合は「医師の同意書」に必要事項を記入してもらい、訪問リハビリをスタートすることが出来る。

 

関連記事⇒『訪問マッサージをするために必須な「同意書」について解説!!

 

 

「介護度」も、訪問マッサージが適応目安となりえる

 

先ほど「補助具(杖以外)を用いなければ歩行ができない状態」が一つの目安になると記載した。

 

ただ、以下の基準もザックリと保険適応かどうかを判定する基準となりえる。

 

対象者の「要介護度が3~5」であったら、適応の可能性あり

 

特に要介護5は歩行困難どころか、起き上がりすら重度介護を要するケースも多いため、訪問リハビリが適応な可能性(歩行困難な可能性)はグッと高まる。

 

ちなみに各要介護度における状態の目安は以下の通り。

 

判定ランク 状態
自立 介護を必要とせず自立した生活ができる。
要支援1・2

介護が必要な状態と認められないが社会的な支援が必要とされる状態。

日常生活を送る能力は基本的にあるが入浴など一部介助が必要。

要介護1

生活の一部について部分的に介護を要する。

立ち上がりや歩行に不安定さがみられる場合が多い。

排泄や入浴に一部介助が必要。

要介護2

中等度介護を要する。

立ち上がりや歩行など自立できない場合が多い。

排泄や入浴に一部または全介助が必要。

要介護3

重度の介護を要する。

立ち上がりや歩行など自立できない。

排泄や入浴、衣服の着脱など全介助が必要。

要介護4

最重度の介護を要する。

日常生活を行う能力がかなり低下している。

排泄や入浴、衣服の着脱など全介助が必要。

要介護5

過酷な介護を要する。

日常生活を行う能力が著しく低下している。

生活全般にわたり全面的的介助が必要。

 

 

訪問マッサージにおける「施術の種類」と「療養費請求金額」

 

ここでは訪問マッサージの療養費請求金額(1割負担分)を記載。

 

マッサージ施術

各部位(体幹・右上肢・左上肢・右下肢・左下肢)  ⇒各340円

最大5部位まで請求可能(5部位請求したと仮定すると⇒1700円)

 

 

加算:変形徒手矯正

前述した6大関節に、1部位を変形徒手矯正対象とすることで各780円が加算。

徒手矯正の適応とするかどうかは医師が判断する(施術者が勝手に判断できない)。

「徒手矯正」といういう表現は「高速低振幅法(スラスト法)」をイメージしがちだが、こんな手法をこれ医者に施行すると関節が壊れる。

でもって、この徒手矯正は「関節可動域測定をしつつの関節可動域訓練」などが該当するようだが、ハッキリとした定義が無いため、請求しないほうが無難だと個人的には感じる。

訪問マッサージを継続するには「医師の同意書を6か月ごとにもらう必要」があるが、徒手矯正を加算に関しては「医師の同意を1か月毎にもらう必要」がある。

 

 

その他の加算

  • 温罨法⇒1回80円加算
  • 温罨法と電気光線⇒1回110円加算

 

温罨法を施行するかに関して、医師の同意書には記載欄が無い。

つまり、施術者の裁量で「必要だ」と思えば施行することが出来る(ただし、温罨法の施行で加算が生じるため、患者が同意している必要はある)。

「電気光線」により加算は取れるが、危機の持ち運びによる費用対効果を考えると、施行している施術所は皆無。

 

 

往診料

  • 4kmまで⇒2300円
  • 4km超 ⇒2700円
距離は「訪問拠点からの直線距離」を指す(大回りしなければ到着しなければならない場所であっても、あくまで直線距離で計算)。極端に直線距離と実際の距離の乖離がある場合(例えば山道)は例外として認められる場合もあるので、疑問があれば問い合わせてみると良い。
ちなみに、訪問拠点から16km以上離れていたら(基本的には)請求できない。

 

 

施術報告書交付料

報告書交付料⇒300円

 

6か月毎に医師へ同意書をもらうことが、訪問マッサージ継続の条件となっており、同意書依頼時に報告書を添えることで請求できる。

 

関連記事⇒『あん摩マッサージ指圧師の「同意書」について

 

 

施術の一例

 

 

 

 

訪問マッサージの「施術時間」は?

 

訪問マッサージの施術時間は「20分以上の施術で保険請求できる」となっている。

 

各事業所における施術時間は20~40分(30分が多い)のようだ。

 

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