この記事では、同身寸法・骨度法について記載していく。
取穴の方法
取穴(経穴を探し出す)の方法には以下の2種類がある。
- 骨度法
- 同身寸法
同身寸法とは
本人の手指の大きさを用いた取穴法のこと。
骨度法とは
本人の身長など骨格を基準として「部位ごとに決められた寸法」を参考に取穴する方法のこと。
ここから先は、イラストも交えて記載していく。
同身寸法
同身寸法とは「本人の手指の大きさを用いた取穴法」を指す。
同身寸法:
骨度で寸度を測ると、一人一人の長さをその都度計測して当てはめることになる。確かにこれが一番厳密な方法であるが、繁雑であることは否めない。そこで簡便法として、その人の身体のある部分を長さの尺度として用いることが考え出された。
〜『新版経絡経穴概論』より引用~
具体的な同身寸
同身寸法で用いられる『同身寸』は、手指における以下の部分である。

同身寸法①
母指と中指の指頭を合わせて環をつくり「中指の橈側にできる横紋の端を結ぶ間」を1寸とする。
同身寸法②
男は左・女は右とし、母指第1節の横幅を1寸とする。
同身寸法③
男は左・女は右とし、示指・中指・薬指第1節を合わせた幅を2寸とする。
同身寸法④
示指から小指までをあわせ、その中節を横にはかり、その幅を3寸とする。
骨度法
骨度法は「本人の身長など骨格を基準として『部位ごとに決められた寸法』を参考に取穴する方法」を指す。
経脈の長さや経穴の位置は、個体ごとに身長の高低や肥痩の差異があるように、厳密には個人によって違がある。このように個体差のある人体の経穴の位置を決定するために、骨格を基準として個人の寸法を定めたものを骨度という。この骨度を用いて身体の経穴の位置を決定する方法を骨度法という。
〜『新版経絡経穴概論』より引用~
骨度法で用いられる身体の寸法
骨度法における「部位ごとに決められた寸法」は具体的に以下の通り。
部位 | 長さ |
頭部・顔面部 | |
前髪際中点~後髪際中点 | 1尺2寸 |
眉間~前髪際中点 | 3寸 |
両額角髪際間 | 9寸 |
両乳様突起間 | 9寸 |
胸部・腹部・季肋部 | |
頸切痕~胸骨体下端 | 9寸 |
胸骨体下端~臍中央 | 8寸 |
臍中央~恥骨結合上縁 | 5寸 |
両乳頭間 | 8寸 |
上背部 | |
左右の肩甲棘内端縁間 | 6寸 |
上肢 | |
中指尖~手関節横紋 | 8寸5分 |
腋窩横紋前端または後端~肘窩 | 9寸 |
肘窩~手関節横紋 | 1尺2寸 |
下肢 | |
恥骨結合上縁~膝蓋骨上縁 | 1尺8寸 |
膝蓋骨尖~内果尖 脛骨内側顆下縁~内果尖 脛骨内側顆下縁~膝蓋骨尖 |
1尺5寸 1尺3寸 2寸 |
大転子頂点~膝窩 | 1尺9寸 |
殿溝~膝窩 | 1尺4寸 |
膝窩~外果尖 | 1尺6寸 |
内果尖~足底 | 3寸 |
足指先~踵(足底) | 1尺2寸 |
以下は、骨度法の一部をイラスト化したものとなる。

骨度法の具体手例
ここから先は、骨度法を用いた取穴の具体例として孔最・中都を扱ってみる。
例1:孔最(前腕の経穴)
例えば孔最を取穴する際、前述した骨度法の「手関節~肘窩までは12寸」を活用する。
孔最は「手関節横紋から7寸」なので以下の順で取穴可能。
- 骨度法から「手関節~肘窩(12寸=)」の中点(=6寸)を探す。
- 中点(6寸)から1寸ほど近位(=手関節横紋から7寸)に孔最がある。

関連記事⇒『孔最(こうさい:LU6)』
例2:中都(下腿内側の経穴)
例えば中都を取穴する際、前述した骨度法の「脛骨内側顆下縁~内果尖までは13寸」を活用する。
中都は「内果尖の上方7寸」なので以下の順で取穴可能。
- 骨度法から「脛骨内側顆下縁~内果尖(=13寸)」の中点(=6.5寸)探す。
- 中点(6.5寸)から若干近位(=内果尖から7寸)に中都がある。

関連記事⇒『中都(ちゅうと:LR6)』
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この記事における同身寸法・骨度法を参考にしつつ、以下の記事で扱っている経絡経穴の取穴を練習してみてほしい。