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第38回(2026年4月30日)2026年あはき療養費改定案をやさしく解説 | 料金引き上げ・月16回半額

制度・社会情勢

この記事では「第38回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」の要約解説記事である。

 

先に結論:

  • 料金は少し上がるが、改定案の本体はルールの厳格化である。
  • とくに重要なのは、月16回以降の半額化、訪問施術の見直し、同意書と明細書の厳格化である。
  • 学生・新人施術者は、回数・訪問・記録・同意書の4点を重点的に理解すると全体像をつかみやすい。

 

目次

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第38回資料の結論を先に整理する

 

今回は「少し値上げ」より「ルールの厳格化」が本体である

 

今回の改定案だけを見ると、「料金が上がる」という点に目が向きやすい。

しかし、現場への影響が大きいのは、むしろルールの見直しである。

 

資料では、物価高騰への対応として一定の引き上げを行う一方で、一定回数を超えた施術への逓減制、明細書発行の推進、訪問施術制度の見直し、不正対策の明確化などが並んでいる。

要するに、「少し上げるが、運用はもっと厳密にする」という改定案である。

 

学校にたとえるなら、部費が少し上がる一方で、出席確認や提出物のチェックが今までより細かくなるイメージである。

現場では、施術ができることに加えて、「なぜ必要か」「どう請求したか」を説明できる力が今まで以上に求められる。

 

 

まだ最終確定ではなく「改定案」の段階である

 

今回の資料は、あくまで「令和8年度料金改定(案)」である。

つまり、方向性はかなり具体的に示されているが、最終決定をそのまま言い切る段階ではない。

 

学生や新人施術者は、ここをよく誤解しやすい。

「もう全部決まった」と受け取るのではなく、「こう変わる方向で整理されている」と理解することが大切である。制度は、案、通知、実施時期を分けて考える必要がある。

 

誤解しやすいポイント:

今回の内容は「改定案」であり、最終確定事項として断定しないことが重要である。現場では口伝えで話が広がりやすいため、正式通知と実施時期の確認が欠かせない。

 

料金はどう変わるのか

 

全体改定率はプラス0.60%

 

資料では、あはき療養費の全体改定率は+0.60%と整理されている。

数字だけ見ると大きな変化には見えにくいが、少なくとも「全体として少し上がる」方向であることは読み取れる。

 

ただし、現場感覚では、この0.60%だけで楽になるとは言いにくい。

なぜなら、後述する月16回以降の半額ルールや、訪問施術の見直しが同時に入るからだ。

つまり、金額が少し上がっても、運用の仕方しだいで受ける影響はかなり変わる。

 

 

マッサージ、はり・きゅうの料金は少し引き上げられる

 

マッサージは、1局所につき20円引き上げられ、1回470円となる案である。

たとえば5局所なら、合計で100円の引き上げになる。

 

はり・きゅうは、初検料が1術2,000円、2術2,320円へ、通所の施術料が1術1,650円、2術1,820円へ引き上げられる案である。

 

大幅な上昇というよりは、物価高を踏まえた小幅な引き上げという見方が近い。

 

数字だけを簡単に見ると・・

  • マッサージ:1局所470円
  • はり・きゅう初検料:1術2,000円、2術2,320円
  • はり・きゅう施術料(通所):1術1,650円、2術1,820円

 

 

月16回以降は半額になるルールが新設される

 

今回の改定案で、学生や新人施術者が必ず覚えておくべきなのが逓減制である。

難しく聞こえるが、意味は単純で、月16回以降の施術は半額で計算するという考え方だ。

 

対象は、マッサージ、はり・きゅうの施術料、訪問施術料、温罨法、変形徒手矯正術、電療料などである。

つまり、「たくさん施術したら、そのままずっと同じ単価では取りにくくなる」仕組みが入るということだ。

 

新人向けに言い換えると、「回数が多いほど、本当にその頻度が必要かを説明しなければならない時代になる」ということ。

頻回施術が多い患者では、計画性や記録の質が今まで以上に重要になる。

関連テーマは、頻回施術の考え方もあわせて押さえると理解しやすい。

 

ここを短く言うと:

「月16回を超える施術は、今までと同じ感覚では請求しにくくなる」ということ。

 

 

訪問施術は何が変わるのか

 

訪問施術料4・5が新設される

 

訪問施術では、同一日・同一建物で施術した患者数による区分がさらに細かくなる。

今回の改定案では、
訪問施術料4(10人以上19人以下)と、
訪問施術料5(20人以上)が新設される。

 

これは、「同じ建物で何人に施術したか」を今まで以上に細かく見ていくという意味である。

施設をまとめて回る働き方では、「今日は何人だったか」がこれまで以上に重要な情報になる。

 

 

特定施設に9割以上集中すると8割算定になる

 

さらに大きいのが、特定の施設に施術が集中しすぎた場合の減算である。

訪問施術料4または5を算定する施術所で、特定の施設で行う訪問施術が全体の9割以上を占める場合、その施設での訪問施術料は8割で算定する案となっている。

 

学生向けに言えば、「ほとんど1つの施設だけを大人数で回っているなら、効率的に施術しているとみなして、同じ単価では見ない」という考え方である。

これは、制度が施設偏重の訪問スタイルをかなり意識していることを示している。

 

 

保険者の確認や申請書様式の整備も進む

 

今回の見直しでは、訪問施術料4・5を算定する施術所について、保険者が訪問施術の状況を確認できるような措置も示されている。

あわせて、月16回以降の逓減算定や訪問施術料4・5に対応するため、新しい申請書様式も整備される方向である。

 

つまり、単に料金区分が増えるだけではない。

「どう回ったのか」「何人だったのか」をあとから確認しやすい形へ制度が変わっていく、という理解が正しい。

 

訪問施術で特に見られやすくなる点:

  • 同じ建物で何人に施術したか
  • 特定施設にどれくらい集中しているか
  • 訪問の実態を説明できる記録があるか

 

 

明細書・同意書・不正対策はどう変わるのか

 

明細書を無料発行すると10円加算できる

 

今回の改定案では、施術内容が分かる明細書を無料で発行した場合、明細書発行加算10円を算定できるようになる。

明細書は原則として支払いごとの交付だが、訪問の場合や、通所でも患者が希望した場合には1か月単位でまとめて渡すことも認める方向である。

 

10円自体は大きな金額ではない。

だが意味は大きい。

制度として、「患者に見える形で説明しなさい」という方向をはっきり示しているからである。

日々の運用を考えるうえでは、記録の残し方とあわせて考えると理解しやすい。

 

 

自己施術や利益供与を伴う施術は対象外と明確化される

 

今回の改定案では、経済上の利益提供、いわゆるマージン等を伴う施術や、施術所と訪問先施設が特別の関係にある場合の施術、そして自己施術・自家施術は、療養費の支給対象外であることが明確化される。

 

要するに、「お金や便宜で患者を集める形」や、「自分や身内への施術を保険で通す形」は、制度としてはっきり認めない方向になるということだ。

新人ほど、「昔からやっているらしい」という曖昧な説明に流されないことが大切である。

 

 

同意書と算定ルールはさらに厳しく整理される

 

同意書については、オンライン診療による交付はできないことが明確化される。

また、同意書の訂正についても、作成した医師本人が訂正したことを明確にする規定が整備される方向である。

 

さらに、実際には訪問して施術しているのに、訪問施術料を算定せず通所マッサージ料金を算定することは原則として認めない整理になる。

加えて、マッサージについても、はり・きゅうと同様に「1日1回限り」であることが明確化される。

 

ここは、学生や新人施術者にとって非常に重要である。

同意書はただの紙ではなく、保険施術の入口である。雑な管理や、あとで整えればよいという発想は、今後ますます通りにくくなる。

基礎から整理したい場合は、医師同意書の基本もあわせて確認するとよい。

 

この章の実務ポイント:

  • 明細書は「患者に見える説明」のための道具になる
  • 自己施術・自家施術、利益供与つき施術は対象外の方向である
  • 同意書は取得方法、訂正方法、書類の真正性まで見られる
 

 

その他の整備と今後の課題

 

その他の整備も静かに重要である

 

今回の改定案では、月16回以降の逓減算定や訪問施術料4・5に対応するため、新たな療養費支給申請書様式の整備も示されている。

また、受領委任制度については、審査会の面接確認に関する規定整備も進める方向である。

 

数字の改定ほど目立たないが、こうした様式変更や制度細則の見直しは、実務ではかなり重要である。

現場では、料金だけでなく、書式や確認の流れまで変わることを前提に準備する必要がある。

 

 

引き続き検討される論点も多い

 

今回ですべてが終わるわけではない。

資料では、頻回施術や訪問施術の実態把握、マッサージ料金の包括化、1か月単位の明細書交付のあり方、患者ごとの償還払いへの変更の仕組み、適正給付と不正請求防止のための対策など、今後の検討課題も示されている。

 

つまり、制度側は今後も訪問施術や頻回施術を見続けるつもりである。

新人施術者は、「今回だけ覚えれば終わり」ではなく、「制度は少しずつ厳密になる」という流れそのものを理解しておくことが大切である。

 

 

学生・新人施術者が明日から意識すべきこと

 

学生や新人施術者がまず意識すべきなのは、回数、訪問、同意書、記録の4点である。

極端に言えば、良い施術をしていても、ルール理解と記録が弱ければ現場は不安定になる。

 

逆に、新人のうちから制度の考え方を押さえておけば、働く職場の運用が健全かどうかも見抜きやすくなる。

訪問中心で働くなら、訪問施術の基本を先に理解しておくと実務感覚がかなり変わる。

 

明日から意識したい3点:

  1. 回数が多い施術は、必要性を説明できるようにする。
  2. 訪問では、人数・場所・施設との関係まで意識する。
  3. 同意書と記録は、事務作業ではなく制度上の根拠だと考える。

 

まとめ

 

今回の改定案を最後に短くまとめると・・

2026年のあはき療養費改定案は、料金が少し上がる一方で、ルールの厳格化が大きな柱になっている。

  1. 全体改定率は+0.60%で、マッサージやはり・きゅうの料金は一部引き上げられる。
  2. 月16回以降は半額算定となり、頻回施術は今まで以上に説明が必要になる。
  3. 訪問施術料4・5の新設や、特定施設への集中に対する8割算定など、訪問施術はかなり細かく見られる。
  4. 明細書10円加算、同意書ルールの厳格化、不正対策の明確化によって、書類と記録の重みが増す。

 

参考文献

 

⇒『第38回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会配布資料

 

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今回の改定案をより深く理解するには、次の基礎記事もあわせて読むとつながりが見えやすい。

 

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