この記事では、五行学説を解説している。
五行学説とは
五行学説とは以下を指す。
五行の関係(相生・相克・相乗・相侮)
ここから先は、五行の関係として相生・相克・相乗・相侮について解説していく。
前述したように五行学説とは「様々な現象を木・火・土・金・水」5つの性質に分類し、その関係性を考える哲学的理論である。
そして、この関係性は「相生と相克」で表され、これらに異常が生じた状態は「相乗・相侮」で表される。
相生(そうせい)とは
循環的な産生を相生と呼び、以下を指す。
イラストにすると以下な感じ。
相克(そうこく)とは
相克とは以下を指す。
イラストにすると以下な感じ。
上記のように「お互いに強みを持ちながら関係性を保っている状態」は『正常』である。
しかし一方で、これが過剰になり過ぎると『異常』となる(後述する)。
「○○を剋するモノ」と「○○が剋するモノ」では意味が全く異なる
国家試験では前述した相克関係を知ったうえで、ちゃんと文章を読まなければいけない。
そして、以下のように選択していくことが必要だ。
- 木を剋するモノは何か⇒答えは「金」
- 木が剋するものは何は⇒答えは「土」
相生と相克を合体させて考える
五行学説では、相生と相克の理論を合体さながら各々の関係性を考えていく。
イラストにすると以下な感じ。
相乗(そうじょう)とは
相乗とは、前述した「相克が過剰に起こっている状態」を指す。
具体的には以下の通り。
- 克する側(強い側)が強くなりすぎている場合
- 克される側(弱い側)が弱くなりすぎている場合
※あるいは上記の両方が生じている場合。
相乗が生じている場合は「異常」と判断する。
治療としては以下が考えられる。
- 克する側を弱める
- 克される側を強める
相侮(そうぶ)とは
相侮とは、前述した「相克」において「強い側と弱い側が逆転した状態」を指す。
具体的には以下の通り。
- 克する側(強い側)が弱くなっている場合。
- 克される側(弱い側)が強くなっている場合
※あるいは上記の両方が生じている場合。
相侮が生じている場合は「異常」と判断する。
治療としては以下が考えられる。
- 克する側を強める
- 克される側を弱める
五行色体表
五行学説を考えるうえで覚えておく必要がある五行式体表は以下の通り。
ここまで木・火・土・金・水で考えてきたが、これを以下に当てはめなおして考えていく。
国家試験でも必ず覚えておく必要がある一覧表は以下となる。
以下はPDFをダウンロードできる記事なので用意しているので、興味がある方はそちらも参考にしてみて欲しい。
「火」を天井にした方が覚えやすいかも?
木・火・土・金・水における「相生・相克・相乗・相侮の関係性」を覚えるだけなら、そんなに難しくない。
しかし、以下のイラストの「火」が頂点にくるようにしたら覚えやすいとの意見もある。
具体的には以下のイラスト(火が頂点にきている)。
このイラストは「土や木」を地面にすることで以下をイメージしやすい。
- 地面の下に「水や金」が埋まっている。
- 地面の上に「火」が存在する。
診察における五行の応用
五臓の病態を診断するために東洋医学は五行学説に基づく診察が行われる。
例えば、望診では五色(青赤黄白黒)を応用して、五華(爪面唇毛髪)などを診察する。
顔面部の診察では五方(東南中央西北)を応用した臓腑(肝心脾肺腎、胆小腸胃大腸膀胱)配当をしている。
聞診では音声の五音(角微宮商羽)と五声(呼笑歌哭呻)を診察し、身体や排泄物の五臭(臊
焦香腥腐)を診察する。
問診では五官(目舌口鼻耳)の状態や、五味(酸苦甘辛鹹)の食事状態などを診察する他、病の原因を知るために五労(久行久視久坐久臥久立)や五志(怒喜思憂恐)、五気(風熱暑湿燥寒)について診察する。
切診では五方(東南中央西北)を応用した腹診をする。
終わりに
くり返しになるが五行学説は、(国家試験合格を目的するのであれば、非常に面倒くさいが)丸暗記する必要がある。
以下の記事では、そんな五行学説の暗記用PDFもダウンロードできたりする記事になっている。
また、五行学説に関して詳細な解説もしているので「丸覚えだと記憶に定着しにくい」という方も合わせて観覧し診てほしい。