体重圧の基本

専門用語(マッサージ関連)

この記事では、あん摩マッサージ指圧(特に指圧)の基本ともなるべき体重圧について解説していく。

 

目次

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なぜ体重圧が重要か?

 

体重圧のポイントを記載する前に、なぜ体重圧が必要かを解説していく。

 

体重圧が重要な理由は以下の通り。

  • 施術者が疲れなくて済む。
  • 指先の触覚感度を高めることができる
  • クライアントもリラックスできる。

 

指導者によってアドバイスがバラバラなため、もしかすると体重圧を強調して指導されない場合があるかもしれない。

ただし体重圧は施術における基礎だと感じるし、上記の理由でおススメできる。

 

ではでは、それぞれの理由を深堀解説していく。

 

施術者が疲れなくて済む

 

「体重圧」は、自身の体重を利用してあん摩指圧をするため、疲れなくて済む。

 

力任せの施術に頼っていては、1日に何人ものクライアントに対応できない。

 

また、長年力任せの施術を繰り返していると、自身の体を壊してしまう。

 

自身の体を守る上でも体重圧を習得しよう。

 

 

指先の触覚感度を高めることができる

 

「体重圧」は、自身の体重を利用してあん摩指圧をするため、押圧部をリラックスさせることができる。

 

例えば「母指による押圧」をする場合、体重圧により母指には必要最小限の力しか入っておらず、母指先端の触覚感度を高めることができる。

 

触覚感度を高めることが出きれば、施術部位の筋緊張・筋硬結の程度、それらの加圧による変化などを敏感に感じ取ることができる。

 

※もちろん、母指で上記を達成するためには+αとして「母指圧の基本」も知っておかなければならないが、この点に関しては以下の記事で解説している。

 

⇒『母指圧の基本(これ知ってないと指を壊すよ)

 

 

クライアントもリラックスできる

 

体重圧によるあん摩指圧は、術者がリラックスできているので、クライアントもリラックスできる。

 

術者が力んで押圧すると、その緊張・努力感はクライアントにも伝播する。

 

そうなると余計な緊張を生み出し、最大限のリラックス効果を与えることができなくなる。

 

クライアントの緊張が余分に高まると、「自身の押圧力」と「相手の筋反発力」で喧嘩をしているだけになってしまい、深層圧が困難となる。

 

この点は、実際に「自身が受け手になってもらうこと」で理解できるようになるだろう。

 

体重圧は自身の体を守るためだけでなく、施術効果を高めるうえでも重要な要素といえる。

 

 

体重圧のポイント

 

ここから先は、体重圧のポイントについて解説してく。

 

ベテランになってくると、そこまで基本的な型を意識しなくとも、力まずに体重圧を加えることが出来るようになる。

 

しかし初心者は、以下の点を意識すると体重圧を習得しやすい。

 

  • 手首・肘・肩が一直線上にして指圧からスタート
  • 受け手に寄りかかれているかモニタリング
  • 自身がリラックスできているかをモニタリング

 

手首・肘・肩が一直線上にして指圧からスタート

 

体重圧をする際は、「肩ー肘ー手首」が一直線になっている方が良い(つまり、肘を伸展させておく方が良い)。

 

熟達してくると、必ずしもこの限りではないが、一直線(肘伸展位)になっていないと関節に骨性ロックがかからず、関節角度を筋の等尺性収縮で維持する必要が出てきて、脱力しにくい。

 

イメージとしては、以下な感じで一直線にしつつ、脱力してクライアントに体重を預けていく感じ。

 

 

また、あん摩の「揉捏」は筋を捏ねる様な操作が必要なため、少し方法が異なる。

 

なので、まずは体重圧を習得するため、(揉捏ではなく)手根や母指を用いた「圧迫」から練習したほうが良い。

 

重複するが、ベテランになってくると必ずしも「肩ー肘ー手首が一直線になっている必要」は無い。

 

なので、ベテランを見ると上記な体重圧を用いていない可能性があるが、初心者はまず上記で練習することをおススメする。

 

関節が骨性ロックされていないと、押圧時に関節(特に肘)がスプリングしてしまう圧が分散しやすいというデメリットもある。

 

 

受け手に寄りかかれているかモニタリング

 

ここからが本番だ。

 

まずは以下を意識して受け手に体重圧を加えてみよう。

 

コア(東洋医学では丹田とも呼ばれる)に力を入れつつ、

体を起こし(猫背にならないよう腰椎の生理的前腕を保ちつつ)、

受け手に寄りかかるように寄りかかる。

 

イメージとしては以下な感じ。

 

上記は、フェンサースタンス(歩行肢位=前後に足を開いた肢位)で、前方にある下肢(右下肢)の膝を屈曲させることで前方へ受け手に寄りかかることで、体重圧を加えている。

 

上記はフェンサースタンスだが、ワイドスタンス(横に足を開いた肢位=股関節を外転させた肢位)でも理屈は同じ。

 

もしフェンサースタンスで体重圧が出来ているかピンとこなければ以下を試してみると良い。

 

前足(右足)を地面から浮かせてみる。

 

前足を浮かすとなると、相手に体重を預けなければ、上記の状態を維持できないので必然的に体重圧が加わる。

 

漸増漸減を意識して「膝を屈曲させて徐々に漸増圧、膝を伸展させることで徐々に漸減圧」を繰り返してみよう。

 

 

押圧に脊柱起立筋が過緊張になっていないか

押圧した際に、自身の脊柱起立筋が収縮せずリラックスできているか(弛緩しているか)をモニタリングするのも良い(当然、加圧後に減圧する際は、体幹を戻すため脊柱起立筋は収縮するので、一応それも確認する)。

 

 

顎や腰椎前湾

また、押圧時に「顎が浮いている」や「過剰に腰椎が前湾している」も、圧が逃げる原因になるので注意。

体重圧を意識するあまりに生じるエラー。腰椎前湾はあくまで「コアを働かせて腰椎の生理的前湾を維持するレベル」でなければ腰部のスプリングにより圧が逃げてしまいやすいので注意。

なぜ初心者に「手を見ず、目線を遠くにして押圧するように」と指導するかというと「猫背+手押し」になるから。

そうならないよう慣れてきたら目線が手元に向いててOK(猫背になっていなければ)。

むしろ顎が浮いていて加圧と同時に腰がそるほうが体重抜ける。

 

 

自身がリラックスできているかをモニタリング

 

最初は体重圧が出来ていても、時間とともに(無自覚に)手押しに戻ってしまっていることがある。

 

ちなみに「体重圧100%」というのは有り得ないので、「体重圧が出来ている」というのは厳密にいうと「体重圧75%くらい」+「残りの25%(必要最低限の力)で自身を支える」というイメージ

 

そして「(無自覚に)手押しに戻ってしまう」というのは「(100%手押しになっているという訳ではなく)体重圧50%+手押し50%になってしまう」というイメージ

 

そして、脱力して患者に寄りかかれているか(体重圧が出来ているか)を、定期的に自身でもモニタリングすることが大切。

 

まずは、押圧時に肩の力が抜けているかをモニタリングしてみよう。

 

ただし、腹部(丹田・コアの部分)は押圧時に重要な役割を果たすため、リラックスはしないように。この部位まで脱力を意識すると加圧とともに腰椎前湾が増強し、圧が抜けてしまうので誤解しないように。

腰背部は、加圧と同時に脱力出来ているほど、上手に体重圧が出来ているということになる。

また、定期的に前足を浮かせて、体重圧になっているか確認しよう。

 

前足で体重を支えていなければ、前足を浮かせることが可能であり、それはすなわち体重圧になっていることを意味する。

 

 

体重圧のおススメ動画

 

ここでは、体重圧に関して有用そうな動画を集めてみた。

 

どちらの動画も大体同じことを言っているのだが、両方の動画を観覧することで、少し違った角度から体重圧を認識できて、理解が深まると思う。

 

 

 

体重圧を習得した上での強圧・高度深層圧

 

クライアントの中には「強圧を好む人」も存在し、体重圧だけでは不十分なケースに出くわすことがあるかもしれない。

 

そんな際、(施術者自身のポリシーにもよるが)クライアントのニーズを満たそうと思った際は以下などの+αを習得すると便利である。

フェンサースタンスであるなら、足の前後幅を開いた上での押圧。

母指圧の場合は、手関節背屈で皮膚のダブリを取って詰めた状態を作り出す。

 

ただし、これらは「あくまで体重圧+α」であり、体重圧が基本である点には変わりない。

 

関連記事

 

体重圧が重要になってくるが「母指が体重の乗る形になっているか」を理解しておかなければ、指を痛めてしまうことになる。

 

そんな「母指圧の基本」を以下の記事で解説しているので合わせて観覧してみて欲しい。

 

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