この記事は、2026年3月27日に開催された「あはき療養費検討専門委員会」の議事録要約である。
議論された主な論点の一覧表
| 論点 | 主な内容 | 会議での扱い |
|---|---|---|
| 頻度調査結果 | マッサージは訪問施術の算定割合が非常に多く、はり・きゅうは通所が約60%を占めるなど、様相が異なることが報告された。 | マッサージと、はり・きゅうで施術実態に違いがあることが示された。 |
| 訪問施術料3 | 施設等で3人以上を施術する場合の評価や、施設との不適切な関係が問題視された。 | マージンや特別の関係を禁止する方向でルールを明確化することとされた。 |
| 医師の同意書 | 同意書の記載内容を詳細化すべきかどうかを巡り、保険者側と施術側で意見が対立した。 | 次回以降の会議で引き続き議論することとなった。 |
| 明細書発行 | 患者への情報提供の観点から毎回の明細書発行が提案された。 | 訪問施術の実態や個人施術所の負担を踏まえた反論が出された。 |
| 長期・頻回 | 月16回以上で理由書添付を求める現行基準について、月10回程度への引き下げを求める意見が出された。 | 実効性の観点から基準見直しが論点となった。 |
| 自己施術・自家施術 | 自分自身や家族、従業員への施術は公的医療保険の支給対象外と明確化する方針が示された。 | 家族の範囲や不正検知の実務上の難しさも課題として指摘された。 |
会議の概要と頻度調査結果
日時・議題
令和8年(2026年)3月27日に開催された。「あはき療養費の令和8年度改定の基本的な考え方(案)について(その3)」を議題として議論が行われた。
頻度調査の結果
マッサージは訪問施術の算定割合が非常に多い一方、はり・きゅうは通所が約60%を占めるなど、様相が異なっていることが報告された。
また、マッサージにおける最大5部位の算定や、変形徒手矯正術の最大4肢の算定割合が年々増加している実態が示された。
整理ポイント
マッサージと、はり・きゅうでは、訪問施術と通所施術の割合に違いがあることが示された。また、マッサージでは最大部位数や変形徒手矯正術の算定割合が増加している点も確認された。
訪問施術制度のあり方と不正対策
訪問施術料3の評価と懸念
施設等で3人以上を施術する場合の「訪問施術料3」について、
施術側からは「手間がかかる割に単価が安すぎる」との訴えがある一方、
施設からのマージン要求や、施設と施術所が一体経営となっている不適切な事例が存在することが問題視された。
不適切な関係の禁止
患者紹介に伴う「経済上の利益の提供(マージン等)」や、施設との「特別の関係」による施術を禁止する方向でルールを明確化することとされた。
重要な論点
患者紹介に伴う経済上の利益の提供や、施設との特別の関係による施術を禁止する方向で、ルールの明確化が進められることとなった。
実態の見える化と審査の強化
保険者側は、特定の施設への「集中率」や頻回訪問の実態を見える化するため、日計表等の提出を求めるべきと主張した。
施術側は、全施術者に書類提出を求めると事務負担が過大になるため、国保連等の審査会における「面談」の機能強化など、疑わしい施術所を対象とした対策を要望した。
有資格者による施術の担保
訪問施術が適切に行われているかを確認するため、携帯用の「免許保有者証」を活用すべきとの意見が出された。
医師の同意書に関する議論
最大の焦点となった論点
医師の同意書に関する議論は、今回の会議における最大の焦点であった。
この論点の中心
同意書をどこまで具体的に記載させるべきか、また、同意書の詳細化によって必要な患者が施術を受けにくくならないかが大きな争点となった。
オンライン診療による同意
あはきの対象となる整形外科的な症状はオンライン診療での同意書交付になじまないため、不適切であることが明確化された。
また、同意書を訂正する際は医師の署名または押印を求めることが提案された。
同意書の記載内容を巡る激しい対立
同意書の記載内容については、保険者側と施術側の間で激しい対立が見られた。
保険者側の主張:現状の同意書には医師の医学的な見地が全く記載されておらず、「患者の希望のみ」で安易に発行されているケースが多数あるとの指摘である。
保険者側の要望:適正な審査を行うため、「どのような診察をして、どのような所見に至った結果、適当な治療手段がないと判断したのか」を同意書に具体的に記載させるフォーマットへの変更を強く要望した。
施術側の主張:同意書の記載事項を複雑化・詳細化すれば、医師が同意書の発行を敬遠するようになり、本当に施術が必要な患者が不利益を被るとして強く反発した。
施術側の反論:すでに病名で対象疾患かどうかの確認はできていると反論した。
事務局は、双方の意見の隔たりが非常に大きいため、今回の会議で結論を出すことは難しいとした。
そのため、次回以降の会議で同意書のフォーマットのあり方について引き続き議論することとなった。
その他の論点
明細書発行の推進
患者への情報提供の観点から毎回の明細書発行が提案された。
しかし施術側からは、訪問施術では月ごとの一括精算が一般的であることや、個人施術所ではレセコン(医療事務コンピューター)が普及していないことから、一律の毎度発行は実態に合わず負担が大きいとの反論が出された。
長期・頻回の基準見直し
現在「月16回以上」で理由書の添付が求められるルールについて、保険者側から「該当者が数%しかおらず実効性がないため、月10回程度に引き下げるべき」との意見が出された。
自己施術・自家施術
自分自身や家族、従業員への施術は公的医療保険の支給対象外と明確化する方針が示された。
ただし、家族の範囲の特定や不正検知の実務的な難しさが課題として指摘された。
その他の主な論点
- 明細書発行を毎回行うべきかどうか
- 長期・頻回の基準を月16回以上から月10回程度へ引き下げるべきかどうか
- 自己施術・自家施術を公的医療保険の支給対象外として明確化すること
- 家族の範囲の特定や不正検知の実務上の難しさ
参考資料
参考資料は以下となる。
外部リンク:第37回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録(2026年3月27日)
