第38回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録(2026年4月30日)の詳細な要約は以下の通り。
本会議は、令和8年度料金改定に向けた最終的な取りまとめ(改定案の承認)を目的として開催された。
目次
1. 会議の概要
日時・議題
2026年(令和8年)4月30日に開催され、「あはき療養費の令和8年度料金改定(案)」について議論が行われた。
結論
料金改定案そのものは了承されたが、申請書の様式詳細や訪問施術の実態把握の手法、同意書のあり方などの各論については、座長・事務局預かりとして引き続き調整・検討されることとなった。
2. 令和8年度改定率と料金の引き上げ・逓減制の導入
改定率(+0.60%)
医科の改定率(+0.28%)に、現下の物価高騰に対応するための上乗せ分(+0.46%)を合わせ、全体で「+0.60%」のプラス改定となることが正式に示された。
マッサージ料金の引き上げ
1局所につき20円引き上げられ、「1回当たり470円」となります(5局所の場合は100円増の2,350円)。
はり・きゅう料金の引き上げ
初検料は1術で50円(2,000円)、2術で90円(2,320円)の引き上げ。施術料は1術で40円(1,650円)、2術で50円(1,820円)引き上げられる。
逓減制(50%算定)の導入
月16回以降の頻回な施術については、マッサージ、はり・きゅうともに所定料金の50%(100分の50)に減額して算定するルールが導入される。
3. 訪問施術制度の見直しと適正化
区分の新設
同一日・同一建物の施術人数に応じ、新たに「訪問施術料4(10人以上)」と「訪問施術料5(20人以上)」の区分が設けられる。
集中率による減算(80%算定)
訪問施術料4・5を算定する施術所において、特定の施設への訪問施術が全体の9割以上を占める場合、効率的な施術が行われているとみなし、所定料金の80%(100分の80)に減算される。
状況確認措置
訪問施術料4・5を算定する場合、保険者が施術状況を確認できるよう措置が講じらたが、施術側からは「真面目にやっている施術所への一律の負担増は避けるべき」との要望が出された。
4. 明細書発行の推進
明細書発行加算(10円)
施術の透明化のため、無償で明細書を発行した場合に新たに10円を算定できる加算が創設される。
月まとめ交付の例外
原則は都度交付だが、訪問施術の場合や、通所で患者の希望が確認できた場合には、1か月単位でまとめて交付することも認められる。
5. 不正対策・ルール違反の明確化
支給対象外の明記
経済上の利益提供(マージン等)を伴う施術、施設等と「特別の関係」にある場合の施術、自己施術・自家施術は療養費の支給対象外であることが明記される。
大規模な不正事案の報告
保険者側(橋本委員)より、既に退職した施術管理者の名前を申請書に虚偽記載し続け、2年間で6,000万〜7,000万円の損害が疑われる新たな不正事案が報告され、不正対策システムの構築を進めていることが共有された。
6. 医師の同意書を巡る激しい対立と今後の課題
運用の見直し
オンライン診療による同意書交付は不可とし、同意書訂正時の署名・捺印義務化や、医師に裏面の留意点を確認させるチェックボックスの追加が行われる。
医学的所見の記載に関する対立
保険者側(幸野委員)
同意書に「医師の医学的所見」を必須とすべきと強く主張した。これが退けられたことに対し、「6疾患なら同意書だけで自動的に支給対象になるという誤った解釈に健保組合は怒っている」とし、今後は患者・医師への照会(調査)を徹底的に厳しく行うと強い警告を発した。
施術側(小林委員)
昭和42年、平成16年、平成30年の各通知の変遷を詳細に引用し、「6疾患については医師の同意があれば支給対象として差し支えない」という現行ルールの正当性を主張し、真っ向から反論した。
抜本的議論の先送り
支給基準の根拠が昭和40年代の通知に依存しており解釈に乖離があるため、同意書のフォーマットや支給基準の抜本的な見直しは、次回以降の大きな検討課題として持ち越された。
参考資料
参考資料は以下となる。
外部リンク:第38回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録(2026年4月30日)
