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生活保護受給者へ訪問マッサージを請求する手続き|指定申請・施術券・福祉事務所請求の流れ

訪問マッサージ

この記事は、2026年5月31日時点の制度情報をもとに作成しています。

実際の申請先・様式・締切・提出方法は自治体ごとに異なりますので、開業する地域を管轄する自治体・福祉事務所の最新の案内を、必ずご自身で確認してください。

 

目次

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この記事で扱う範囲

 

この記事では、あん摩マッサージ指圧師の方が生活保護受給者へ訪問マッサージを行い、医療扶助として施術料を請求するために必要な「追加の手続き」だけを取り上げます。

 

保健所への施術所開設届、出張施術業務開始届、地方厚生局への受領委任の申出、施術管理者の要件、そして通常の医療保険による訪問マッサージの開業手続きについては、以下で解説しているため、まずはコチラを観覧するようお願いします。

 

⇒『訪問マッサージ開業完全ガイド|卒業後から医療保険請求できるまでの手続きと注意点

 

💡 ポイント

生活保護受給者への請求は、通常の医療保険請求の延長ではありません。普段の訪問マッサージの開業準備に加えて、生活保護法に基づく「指定」と、患者さんごとの福祉事務所による「要否判断」が必要になります。

 

結論

 

生活保護受給者へ医療扶助として訪問マッサージを行い、施術料を請求するには、大きく分けて2つの手続きが必要です。

 

段階 必要なこと 主な関係先 注意点
事業者側の手続き 生活保護法に基づく指定施術機関・指定施術者として指定を受けます 都道府県、指定都市、中核市、福祉事務所等 申請先・様式・必要書類は自治体によって異なります
患者ごとの手続き 給付要否意見書を経て、福祉事務所が施術の必要性を判断し、施術券を発行します 福祉事務所、ケースワーカー、指定医療機関、指定施術機関 施術券がない状態で始めてしまうと請求できない可能性があります

 

つまり、生活保護受給者へ請求できる状態とは、「施術者側が指定を受けていること」と「その患者さんについて施術券が発行されていること」の両方がそろった状態です。

 

通常の医療保険の受領委任ができるからといって、生活保護受給者へ自動的に請求できるわけではありません。これは開業後に誤解しやすい、とても大切なポイントです。

 

 

通常の医療保険請求と生活保護の医療扶助は別物です

 

通常の医療保険による訪問マッサージでは、医師の同意書または診断書に基づいて、療養費として保険者へ請求します。

受領委任を扱う場合は、患者さんから一部負担金を受け取り、残りを保険者へ請求するという流れになります。

 

一方、生活保護受給者の場合は、生活保護法の医療扶助として扱われます。

医療扶助は、福祉事務所が必要性を判断し、指定医療機関・指定施術機関等を通じて給付する仕組みです。

 

項目 通常の医療保険請求 生活保護の医療扶助
請求の前提 医師の同意、保険資格、療養費支給申請 生活保護法による指定、福祉事務所の要否判断、施術券
患者ごとの確認 医師の同意書・保険資格・同意期限を中心に管理します 給付要否意見書、施術券、有効期間、福祉事務所の指示を管理します
請求先 保険者、国保連等 原則として、施術券を発行した福祉事務所
患者負担 負担割合に応じて一部負担金を徴収します 通常の一部負担金とは異なり、福祉事務所の決定・施術券等に従います
毎月の確認 保険資格、施術日、同意期限、申請書の整合性 施術券の有無、有効期間、対象者、施術機関名、請求様式

⚠️ 注意点

生活保護受給者の方から「生活保護だから無料で受けられるはず」と言われても、施術者側の判断だけで施術を始めてはいけません。

福祉事務所の要否判断と施術券の発行を確認してから、施術を始める必要があります。

 

生活保護法による指定申請が必要です

 

生活保護受給者へ医療扶助として施術を行うには、生活保護法に基づく「指定」を受ける必要があります。

自治体の案内では、「指定施術機関」「指定施術者」「生活保護法指定助産師・施術者」などの名称で案内されていることが多いです。

 

愛媛県の公式案内では、生活保護法による医療扶助は福祉事務所長が指定医療機関に委託して給付する方法をとっており、指定施術機関の対象として、柔道整復師、あん摩・マッサージ師、はり・きゅう師が示されています。

 

したがって、訪問マッサージの事業者が生活保護受給者へ請求するには、通常の保険請求の準備とは別に、生活保護法による指定申請を行う必要があります。

 

 

申請名称の例

 

名称の例 意味
生活保護法指定施術機関指定申請 生活保護の医療扶助を担当する施術機関として指定を受けるための手続きです
生活保護法指定施術者指定申請 施術者個人として指定を受けるための手続きです
生活保護法指定助産師・施術者指定申請 助産師と施術者を同じ様式の体系で扱っている自治体での申請名です

 

名称は自治体によって異なりますが、実務上は「生活保護受給者に対して、あん摩マッサージ指圧の施術を医療扶助として担当するための指定」と理解しておけば大丈夫です。

 

 

申請先は自治体によって異なります

 

生活保護法による指定申請では、「どこへ提出するか」がとても重要です。

提出先は、都道府県、指定都市、中核市、福祉事務所など、自治体の権限区分によって変わります。

 

特に気をつけたいのは、施術所を開設している場合、勤務施術者の場合、出張専門の場合で、申請先や記載内容が変わることがある点です。

 

形態 申請先の考え方 確認すべきこと
施術所を開設している場合 施術所の所在地を管轄する自治体・福祉事務所等に申請する運用が多いです 開設者用の申請書か、施術者個人用の申請書かを確認しましょう
勤務施術者の場合 施術者の住所地、または勤務先の所在地を基準とする場合があります 勤務先の指定だけで足りるのか、ご自身個人の指定が必要かを確認しましょう
出張専門の場合 施術者の住所地を管轄する自治体・福祉事務所等に申請する運用があります 出張専門者用の様式や、住所地を基準とする扱いを確認しましょう

 

  • 岡山市の公式案内では、助産所・施術所ではなく、助産師・施術者個人を指定すると明記されています。また、提出先については、助産所・施術所の開設者は所在地を所管する福祉事務所、勤務者または出張専門者は住所を所管する福祉事務所とされています。
  • 大阪府の公式案内では、施術所を開設していない施術者は施術者の住所地を管轄する都道府県・指定都市・中核市へ申請し、施術所を開設する施術者は施術所所在地を管轄する自治体へ申請する取扱いが示されています。
  • また、政令指定都市・中核市は提出先や様式が異なるため、各市へ確認するよう案内されています。

🔑 補足

「生活保護法上の指定が施術所単位か個人単位か」と考えるよりも、実務上は「自治体によって、開設者・勤務者・出張専門者で申請先・申請書の種類・記載事項が分かれる」と理解しておくほうが正確です。

 

申請に必要な書類

 

生活保護法による指定申請に必要な書類は、自治体によって異なります。

ただし、多くの自治体では、指定申請書・誓約書・免許証の写しが基本になります。

 

書類 内容 注意点
生活保護法指定施術機関・指定施術者の指定申請書 生活保護法による指定を受けるための申請書です 開設者用・開設者でない方向けなど、様式が分かれる場合があります
誓約書 欠格事由に該当しないことなどを誓約する書類です 自治体が指定する様式を使います
あん摩マッサージ指圧師免許証の写し 資格を確認するための添付書類です 柔道整復・あん摩マッサージ・はり・きゅうなど、指定を受ける種別に応じた免許証の写しが必要です
本人確認書類 本人確認のために求められる場合があります 自治体によって要否が異なります
施術所情報・住所情報 施術所所在地、施術者住所、電話番号、業務種類など 開設者か、勤務者・出張専門者かによって記載事項が変わります

 

大阪府の公式案内では、新たに生活保護法等による助産・施術機関の指定を受けようとする場合、指定を受ける種別に応じた免許証の写しを添付するよう示されています。

また、岡山市の公式案内では、指定申請書・誓約書・資格免許証の写しが必要書類として示されています。

 

指定申請前チェックリスト

 

チェック項目 確認
申請先となる自治体を確認した
施術所開設者として申請するのか、勤務者・出張専門者として申請するのかを整理した
生活保護法指定施術機関・指定施術者の申請様式を入手した
誓約書の様式を入手した
あん摩マッサージ指圧師免許証の写しを用意した
電子申請・郵送・窓口提出のどれに対応しているかを確認した
指定希望年月日を記入できるかを確認した
指定通知書・指定番号等の保管場所を決めた

 

指定申請は、生活保護受給者の方から依頼が来てから始めると、間に合わないことがあります。

生活保護受給者への対応を事業として考えているなら、開業準備の段階で申請先と必要書類を確認しておくことをおすすめします。

 

 

指定を受けただけでは施術を始められません

 

生活保護法による指定を受けたとしても、それだけで生活保護受給者へすぐに施術を始めて請求できるわけではありません。

 

患者さんごとに、福祉事務所が「その人に施術の給付が必要かどうか」を判断します。

この判断に使われるのが、給付要否意見書です。

 

厚生労働省の医療扶助運営要領では、施術の給付について申請があった場合、給付要否意見書に必要事項を記載し、指定施術機関および指定医療機関で所要事項の記入を受け、福祉事務所長または町村長に提出するよう指導して発行することとされています。

 

つまり、生活保護受給者への訪問マッサージでは、次のような流れをたどる必要があります。

  1. 生活保護受給者ご本人またはご家族が、担当のケースワーカーへ相談します。
  2. 福祉事務所が給付要否意見書を発行します。
  3. 指定施術機関・指定施術者が必要事項を記入します。
  4. 指定医療機関で、医師の意見・所要事項の記入を受けます。
  5. 福祉事務所へ提出します。
  6. 福祉事務所が、施術の給付を必要と認めるかどうかを判断します。
  7. 必要と認められた場合、施術券が発行されます。
  8. 施術券の有効期間内に施術を行います。
  9. 翌月、福祉事務所へ施術報酬を請求します。

⚠️ 注意点

「指定を受けているから請求できる」では不十分です。患者さんごとの施術券が発行されていない月は、医療扶助として請求できない可能性があります。

 

施術券とは何か

 

施術券とは、福祉事務所が、生活保護受給者に対して一定期間の施術給付を認めたことを示す、とても重要な書類です。

 

厚生労働省の医療扶助運営要領では、給付要否意見書に基づいて施術の給付を必要と認めたとき、福祉事務所長が施術券を被保護者に発行することとされています。

また、施術券は暦月を単位として発行することとされています。

 

実務上、施術券の受け渡し方法は自治体によって異なる場合があります。

患者さんご本人に渡される場合、施術機関へ送付される場合、ケースワーカーから連絡が入る場合などが考えられますので、必ず福祉事務所へ確認してください。

 

 

施術券で確認する項目

 

確認項目 見るべきポイント
対象者氏名 施術する生活保護受給者ご本人のものかどうか
有効期間 施術する月・期間が合っているか
施術機関名・施術者名 自分または自院が記載されているか
施術種別 あん摩・マッサージとして認められているか
発行元 どこの福祉事務所が発行したか
請求先 原則として、施術券を発行した福祉事務所です

 

医療扶助運営要領では、被保護者に対して、施術券に記載されている施術機関から給付を受けること、施術券の有効期間内に受療すること、施術が終わったときや中止したときは福祉事務所へ届け出ることを、よく留意させることとされています。

 

したがって、施術券に記載された施術機関と実際の施術機関が違う場合や、有効期間外の場合は、そのまま施術を進めないほうが安全です。

必ず福祉事務所に確認してください。

 

 

施術券は暦月単位で管理します

 

施術券は、原則として暦月単位で発行されます。たとえば6月分の施術券であれば、6月中の施術が対象になる、という考え方で管理します。

 

翌月も施術が必要な場合は、翌月分の施術券が発行されます。

つまり、生活保護受給者を継続して施術する場合は、毎月、施術券の有無と有効期間を確認しなければなりません。

 

管理項目 内容 実務上の注意点
施術券の対象月 何月分の施術券か 月をまたぐ施術では特に注意しましょう
有効期間 施術できる期間 期間外の施術は請求できない可能性があります
翌月分の発行状況 継続施術に必要な翌月分が出ているか 月末までに確認しておくと安心です
中止・終了 施術が終了または中止となったか 必要に応じて福祉事務所へ連絡しましょう

🔑 補足注意

生活保護受給者の場合、通常の同意書の期限だけでなく、施術券の対象月も管理する必要があります。

「同意書は有効だけれど、その月の施術券がない」という状態だと、請求のトラブルになりかねません。

 

6か月を超えて継続する場合の要否確認

 

あん摩・マッサージの施術を生活保護の医療扶助として継続する場合、6か月を超える時点で、あらためて確認が必要になります。

 

厚生労働省の医療扶助運営要領では、あん摩・マッサージおよびはり・きゅうについて、引き続き6か月を超えて施術を必要とするときは、第7月分の施術券を発行する前に、給付要否意見書によって第7月以降の医療扶助継続の要否を十分に検討することとされています。

さらに継続する場合も、6か月を経過するごとに同じ手続きで継続の要否を検討することとされています。

 

時期 必要な確認 実務上の動き
初回月 給付要否意見書、施術券 施術券が発行されてから施術を開始します
2〜6か月目 毎月の施術券 対象月・有効期間・施術機関名を確認します
第7月分の前 継続の要否確認 給付要否意見書によって、医療扶助を継続する必要性を確認します
以後6か月ごと 同様の継続確認 ケースワーカーと早めに連携します

 

実務上は、5か月目あたりからケースワーカーへ「第7月分の前に給付要否の確認が必要になりますか」と確認しておくと安心です。

直前になって手続きを始めると、施術券の発行が遅れて、施術の中断や請求漏れにつながる可能性があります。

 

 

医師の同意書・診断書と給付要否意見書の関係

 

生活保護受給者へのあん摩・マッサージの施術では、医師の関与が重要です。

 

医療扶助運営要領では、施術の給付について、給付要否意見書に必要事項を記載し、指定施術機関および指定医療機関で所要事項の記入を受ける流れが示されています。

また、あん摩・マッサージ指圧師が脱臼または骨折の患部以外に施術をするときなどは、その施術の要否に関する診断書をもって、医師の同意書に代えることができるとされています。

 

実務上は、通常の訪問マッサージと同じように、医師の同意書または診断書の有無を確認するだけでなく、生活保護の医療扶助として給付要否意見書の手続きが必要になる、という点を押さえておきましょう。

 

書類 役割 注意点
医師の同意書・診断書 あん摩・マッサージの医学的な必要性を確認します 通常の療養費請求でも重要な書類です
給付要否意見書 生活保護の医療扶助として施術が必要かどうかを判断するための書類です 福祉事務所・指定施術機関・指定医療機関が関わります
施術券 福祉事務所が、その月の施術給付を認めたことを示す書類です 施術を始める前に、発行状況と有効期間を確認します

 

生活保護受給者の場合、「医師の同意書があるからすぐ請求できる」とは考えないほうが安全です。

医師の同意書・診断書と、福祉事務所の給付要否判断は、役割が異なるからです。

 

 

あん摩・マッサージと医療機関診療の関係

 

生活保護の施術給付では、あん摩・マッサージ、柔道整復、はり・きゅうが、同じ「施術の給付」の中で扱われます。

そのため、はり・きゅうのルールを、あん摩・マッサージにそのまま当てはめて説明してしまうことがあります。

 

しかし、医療扶助運営要領では、はり・きゅうについては、慢性病であって医師による適当な治療手段がないものを対象とし、指定医療機関の医療の給付が行われている期間は、その疾病にかかる施術は給付の対象にならないとされています。

 

一方で、あん摩・マッサージを含む施術給付については、現に指定医療機関で診療を受けている場合は、その指定医療機関の意見を求めたうえで要否を決定するとされています。

 

区分 医療機関診療との関係 記事内での安全な表現
はり・きゅう 指定医療機関の医療給付が行われている期間は、その疾病に係る施術は給付の対象外とされます 同一疾病について医療機関の医療給付中は、はり・きゅうの給付対象外になるという扱いが明記されています
あん摩・マッサージ 現に指定医療機関で診療を受けている場合は、その指定医療機関の意見を求めたうえで要否を決定します 医療機関に通院中であることだけで一律に不可とはせず、指定医療機関の意見と福祉事務所の要否判断に基づきます

⚠️ 誤解を避けるための補足

「同一疾病について医療機関の保険診療と併用は不可」という説明は、はり・きゅうでははっきり示されています。

一方、あん摩・マッサージでは、医療機関にかかっていること自体を理由に一律で不可と説明するのではなく、指定医療機関の意見と福祉事務所の要否判断に基づいて扱う、と説明するほうが正確です。

 

施術料の請求先と提出期限

 

生活保護受給者へ施術券に基づいて施術を行った場合、請求先は通常の健康保険の保険者ではありません。原則として、施術券を発行した福祉事務所長へ提出します。

 

厚生労働省の医療扶助運営要領では、指定施術機関が施術券によって患者に施術を行ったときは、施術報酬請求明細書と、当月の施術分を取りまとめた施術報酬請求書を作成し、これらの書類を翌月10日までに、その施術券を発行した福祉事務所長へ提出させるものとされています。

 

項目 内容 注意点
請求書類 施術報酬請求書、施術報酬請求明細書など 自治体が指定する様式を確認します
提出先 施術券を発行した福祉事務所長 患者さんの住所地と施術所の所在地が異なる場合は、特に確認しましょう
提出期限 原則、翌月10日まで 土日祝・自治体の運用、郵送が必着か消印有効かを確認します
確認資料 施術券、給付要否意見書、施術録、医師意見関係書類など 添付の要否は福祉事務所に確認します

 

生活保護の請求では、通常の療養費請求ソフトだけでは対応しきれない場合があります。

自治体が指定する様式がある場合は、その様式に従って作成する必要があります。

 

 

施術料金は自治体・協定を確認しましょう

 

生活保護の施術料は、通常の療養費と同じ感覚で自己判断しないほうが安全です。

 

医療扶助運営要領では、あん摩・マッサージの費用について、あん摩・マッサージの施術料金の算定方法を基準として、都道府県知事と関係団体との間で協定して定めた額以内の額とすることとされています。

 

そのため、生活保護受給者を受け入れる前に、次の点を福祉事務所へ確認しておきましょう。

 

確認項目 理由
使用する料金表 自治体・協定額に基づく扱いがあるためです
請求書・明細書の様式 自治体が指定する様式がある場合があるためです
提出期限 翌月10日が基準でも、実務上の締切の確認が必要なためです
郵送・窓口・電子申請の可否 提出方法が自治体ごとに異なるためです
施術券の原本・写しの扱い 添付の要否が自治体によって異なる可能性があるためです
返戻時の再提出方法 入金の遅れを防ぐためです

🔑 補足注意

生活保護受給者への施術料は、通常の医療保険請求と同じ金額・同じ提出先・同じ様式でよい、と決めつけないことが大切です。

最初の1件目を受ける前に、必ず福祉事務所へ確認しましょう。

 

生活保護受給者を受け入れる実務フロー

 

生活保護受給者の方から訪問マッサージの相談があった場合は、次の順番で進めると安心です。

 

手順 実務内容 注意点
相談受付 生活保護を受給中か、担当の福祉事務所・ケースワーカーが誰かを確認します 患者さんご本人やご家族の説明だけで判断しません
指定状況の確認 ご自身または自院が生活保護法の指定を受けているかを確認します 指定通知書・指定番号を確認します
ケースワーカーへ確認 訪問マッサージの希望があること、給付要否意見書の流れを確認します 患者さんの同意のうえで連携します
給付要否意見書対応 施術者欄など、必要事項を記入します 記入内容は施術録・同意書と矛盾しないようにします
医師意見の確認 指定医療機関側の記入・診断書・同意書の扱いを確認します 無診察の同意や形式的な記入に頼りません
福祉事務所の判断待ち 給付の可否を待ちます 施術券が発行される前に施術を始めません
施術券確認 有効期間・対象者・施術機関名を確認します 月ごとに確認します
施術開始 施術券の有効期間内に施術を行います 施術録を通常以上にていねいに残します
月末締め 当月の施術分と施術券を照合します 有効期間外・記載漏れ・施術日数の誤りを確認します
翌月請求 施術報酬請求書・施術報酬請求明細書を提出します 原則として翌月10日までに福祉事務所へ提出します
継続管理 毎月の施術券、6か月ごとの要否確認を管理します 第7月分の前の手続きが遅れないよう注意します

 

この流れの中で特に大切なのは、ケースワーカーとの連携です。

通常の訪問マッサージでは医師・ケアマネジャー・ご家族との連携が重要ですが、生活保護受給者の場合は、そこに福祉事務所・ケースワーカーとの連携が加わります。

 

 

患者・家族への説明例

 

生活保護受給者の方やご家族から問い合わせがあった場合は、次のように説明すると誤解が少なくなります。

説明例

生活保護の医療扶助で訪問マッサージを受ける場合は、事前に福祉事務所の確認が必要です。

当院が生活保護法の指定施術者として対応できる場合でも、患者さんごとに福祉事務所が必要性を判断し、施術券が発行されてから施術を開始することになります。

まずは担当のケースワーカーさんへ、訪問マッサージを希望していることをご相談ください。

 

このように説明しておくと、「生活保護だからすぐ受けられると思っていた」「施術を受けたのに請求できなかった」といったトラブルを防ぎやすくなります。

 

 

施術開始前チェックリスト

 

生活保護受給者へ訪問マッサージを始める前には、少なくとも次の項目を確認しておく必要があります。

 

チェック項目 確認
自分または自院が生活保護法指定施術機関・指定施術者として指定されている
指定通知書・指定番号を保管している
患者さんの担当福祉事務所を確認した
担当ケースワーカーの連絡先を確認した
給付要否意見書の発行・提出フローを確認した
医師意見・診断書・同意書等の必要書類を確認した
福祉事務所が施術の給付を認めた
施術券が発行されている
施術券の有効期間を確認した
施術券に記載された施術機関・施術者が自分または自院と一致している
請求書・明細書の様式を入手した
翌月の提出期限を確認した
6か月ごとの継続確認時期を管理表に入力した

 

このチェックリストの中で特に大切なのは、施術券の有無と有効期間です。

施術券が発行されていない月、施術券の有効期間外、施術券に記載されていない施術機関による施術は、請求のトラブルにつながる可能性があります。

 

 

指定後の変更・休止・廃止・辞退にも注意しましょう

 

生活保護法の指定は、指定を受けたら終わり、というものではありません。

氏名・住所・施術所の所在地・電話番号・業務の種類・開設形態などが変わった場合は、変更届が必要になることがあります。

 

岡山市の公式案内では、指定医療機関等の名称や所在地などに変更が生じたとき、または事業を廃止・休止するときには届出が必要とされています。

指定助産師・指定施術者についても、変更・廃止・休止・再開・辞退の届出を行う場合は、該当する届出書を提出するよう案内されています。

 

大阪府の公式案内では、届出内容を変更した場合、休止・廃止・再開した場合、処分を受けた場合は、10日以内に提出することが示されています。

また、生活保護法等による指定を辞退する場合は、辞退届を提出してから30日以降でなければ辞退できないとされています。

 

変更・事由 必要になりやすい届出 注意点
氏名が変わった 変更届 免許証の情報との整合性も確認します
住所が変わった 変更届 出張専門の方は特に注意します
施術所所在地が変わった 変更届または再申請の確認 管轄が変わる場合は早めに相談します
電話番号が変わった 変更届 福祉事務所からの連絡に支障が出ないようにします
出張専門から施術所開設に変わった 変更届または新規申請の確認 申請先・記載事項が変わる可能性があります
勤務先が変わった 届出要否を確認 個人指定の自治体では特に注意します
事業を休止した 休止届 指定通知書の扱いを確認します
事業を廃止した 廃止届 指定通知書の添付が必要な場合があります
休止後に再開した 再開届 再開する前に管轄へ確認します
生活保護法の指定のみ辞退したい 指定辞退届 辞退できる時期に制限がある場合があります

⚠️ 注意点

保健所や地方厚生局へ変更届を出しても、生活保護法側の変更届が自動的に完了するとは限りません。

移転・法人化・屋号変更・勤務形態の変更の際は、生活保護法の指定についての届出も、別に確認する必要があります。

 

生活保護対応用の管理表を作りましょう

 

生活保護受給者を受け入れる場合は、通常の患者管理表とは別に、生活保護対応用の管理表を作っておくとよいでしょう。

 

管理項目 内容
患者氏名 生活保護受給者ご本人
担当福祉事務所 施術券の発行元
担当ケースワーカー 氏名・連絡先
初回相談日 問い合わせを受けた日
給付要否意見書発行日 手続き開始の目安
医師記入日 指定医療機関の意見を取得した状況
施術券発行月 毎月確認します
施術券有効期間 月単位で管理します
施術開始日 施術券の発行後であることを確認します
請求書提出日 翌月10日までを意識します
入金確認日 未入金・返戻の確認に使います
6か月継続確認月 第7月分の前の要否確認に備えます
中止・終了日 福祉事務所への連絡の要否を確認します

 

生活保護受給者への対応で多いミスは、施術の技術ではなく、施術券の確認漏れ・請求書類の不備・継続要否の確認の遅れです。

管理表を作り、毎月の締め作業に組み込んでおくことが大切です。

 

 

よくある失敗例

 

失敗例 問題点 対策
生活保護法の指定を受けずに施術を始めた 福祉事務所へ請求できない可能性があります 事前に指定申請を済ませておきます
施術券が出る前に施術した 医療扶助として認められない可能性があります 施術券を確認してから始めます
施術券の有効月を確認していなかった 有効期間外の請求になる可能性があります 毎月、施術券を確認します
施術券の施術機関名が違っていた 記載外の施術機関の扱いになる可能性があります 始める前に発行内容を確認します
翌月10日の提出に間に合わなかった 支払いの遅れ・再提出の原因になります 月末の締め作業を固定化します
6か月後の継続確認を忘れた 第7月分以降の施術券の発行が遅れます 5か月目でケースワーカーに確認します
移転・住所変更後に変更届を出していなかった 指定情報と実態がずれます 変更したときは生活保護法側の届出も確認します

 

生活保護受給者への訪問マッサージでは、施術券が中心になります。

施術券があるか、有効期間内か、施術機関名が一致しているか、請求書類と矛盾していないかを、毎月確認する必要があります。

 

 

まとめ

 

生活保護受給者へ訪問マッサージの施術料を請求するには、通常の医療保険請求の準備に加えて、生活保護法に基づく追加の手続きが必要です。

 

いちばん大切なのは、次の2点です。

必須ポイント 内容
生活保護法による指定 指定施術機関・指定施術者として、自治体へ申請して指定を受けます
患者ごとの施術券 給付要否意見書を経て、福祉事務所が必要と認めた場合に発行されます

 

そのうえで、施術券の有効期間内に施術を行い、施術報酬請求書・施術報酬請求明細書を作成して、原則として翌月10日までに、施術券を発行した福祉事務所長へ提出します。

 

生活保護受給者への対応は、通常の保険請求よりも福祉事務所との連携が重要になります。

「指定を受けたから大丈夫」「患者さんが生活保護だから請求できるはず」とは考えず、必ず次の順番で進めましょう。

  1. ご自身または自院が、生活保護法の指定を受けます。
  2. 患者さんが、担当のケースワーカーへ相談します。
  3. 給付要否意見書の手続きを行います。
  4. 福祉事務所が必要性を判断します。
  5. 施術券が発行されます。
  6. 施術券の有効期間内に施術します。
  7. 翌月、福祉事務所へ請求します。

 

この流れを守ることで、生活保護受給者への訪問マッサージの請求を、制度に沿って安全に進めやすくなります。

 

 

参考文献

 

 

 

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