【疾患まとめ】下腿〜足関節〜足部の疾患

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この記事では「下腿〜足関節〜足部の疾患」について解説していく。

 

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アキレス腱周囲炎

 

この記事ではアキレス腱周囲炎・アキレス腱滑液包炎について記載していく。

 

アキレス腱周囲炎

アキレス腱周囲炎は以下を指す。

スポーツや長距離歩行のように「下腿三頭筋を過度に使用すること」をきっかけとした、アキレス腱周囲の炎症。

※アキレス腱周囲炎は、加齢に伴う腱の変性も関与している。

症状は、アキレス腱部の疼痛・腫脹・圧痛である。

 

パラテノンとは:

アキレス腱の表層はパラテノンと呼ばれる腱上膜があり、アキレス腱は血流豊富なパラテノンに包まれている。アキレス腱とパラテノンの間には組織液が含まれており、摩擦を軽減している。また、アキレス腱の深部にはKager's fat padと呼ばれる脂肪組織があり、アキレス腱へ血流供給している。

 

アキレス腱滑液包炎

アキレス腱滑液包炎とは以下を指す。

「アキレス腱と踵隆起の後上部との間」や「アキレス腱と皮膚の間などアキレス腱遠位部」に存在する滑液包が、圧迫刺激を受けることにより炎症を起こし、歩行や運動に際して疼痛と腫瘤を生じたもの。女性に多く、両側発生を認める傾向がある。

 

原因

アキレス腱・アキレス腱周囲の結合組織・滑液包は、以下などにより炎症をきたすことがある。

  • 足関節への過度な運動負荷
  • 下腿三頭筋の筋力低下
  • 筋腱の柔軟性低下

 

症状

症状は、以下イラスト範囲における「腱や腱周囲の圧痛、疼痛、腫脹、硬結」である。

疼痛部位を問診すると「アキレス腱」と答える患者がいる一方で、実際はこう後脛骨筋・長母指屈筋・長指屈筋だったという場合もあるので、正確な疼痛部位を確認することは大切。

 

治療

原則、保存療法で以下などが挙げられる。

  • 原因スポーツの中止・安静
  • アイシング
  • 薬物療法
  • 踵が高くなるような装具の着用
  • 下腿三頭筋の筋緊張緩和
  • 疼痛がアキレス腱伸張時のみに治まれば、P=NWな範囲でのストレッチング

※アキレス腱滑液包炎の場合、滑液包と踵後部上方の隆起を切除することもある。

※アキレス腱周囲炎の場合、消炎目的で副腎皮質ステロイドを局所注入することもある。

 

 

 

前脛骨区画症候群(前脛骨筋症候群)

 

区画症候群とはコンパートメントシンドロームとも呼ばれ、上下肢で起こりやすい。

 

区画症候群の機序

区画症候群の機序は以下の通り。

  1. (急に)普段やらないような激しい運動をするなどによって組織内圧上昇、各筋内の出血による浮腫などが生じる。
  2. 一方で、筋膜は複数の筋を束ねて覆っているが、伸張性はほとんど無いため、筋膜内において組織内圧が上昇する。
  3. すると血行障害や神経麻痺に繋がってしまう。

 

下腿の区画症候群

 

下腿は脛骨と腓骨、および両骨の間に張る下腿骨間膜により大きく前後に区分されている。

それに加えて、腓骨外側に位置する腓骨筋群は屈筋群とも伸筋群とも異なる運動機能を持つので厚い以下の筋膜によりこれらの筋群から区分される。

伸筋群と腓骨筋群の間に肥厚した筋膜を前下腿筋間中隔

屈筋群と腓骨筋群との間に肥厚した筋膜を後下腿筋間中隔

 

結果として下腿には以下の「3つの筋区画(コンパートメントが)」存在することになる

※後方区画を浅後方・深後方に分けて「4区画」とする文献もある)。

  • 前方筋区画(=前脛骨区画)
  • 側方筋区画
  • 後方筋区画(=浅後方深後方筋区画)

 

前脛骨区画の構成要素

区画症候群は、特に下腿に起こりやすく下腿4区画のうち特に前脛骨区画に生じやすい。

そんな「下腿の前脛骨区画」を形成する要素は以下の通り。

  • 足関節・足趾の伸筋(前脛骨筋長母指伸筋長趾伸筋)
  • 前脛骨動脈
  • 深腓骨神経

 

ちなみに、その他の区画構成要素は以下の通り。

  • 側方 :長・短腓骨筋
  • 浅後方:腓腹筋・ヒラメ筋・足底筋
  • 深後方:後脛骨筋・長母指屈筋・長指屈筋

 

前脛骨筋症候群(前方コンパーメント症候群)の機序

下腿伸筋群の使い過ぎや炎症などによって伸筋群が腫脹すると、その筋を含む下腿前面のコンパーメント内を通る血管や神経を圧迫し障害を起こす。

 

原因

  • 筋浮腫   :激しいスポーツ・長時間の歩行など
  • 筋膜内圧上昇:区画内出血

症状

下肢区画症候群の症状としては以下などが挙げられる。

  • 前区画部の激痛と腫脹
  • 足背動脈脈拍減弱または消失(前脛骨動脈は足背動脈につながっているので生じる)
  • 下垂足(深腓骨神経に足関節背屈筋が支配されているので生じる)
慢性症状としては「運動中、徐々に怠くなったり痺れて動かなくなったり」が生じる。

 

治療

緊急筋膜切開にて落ち着くまで開放創にしておく(切開により内圧が下がる)

 

 

下肢の筋挫傷(いわゆる「肉離れ」)

 

筋挫傷とは以下を指す。

大きすぎる抵抗に対して強制的に収縮しようとした際、筋線維の分離や断裂が起きること。

※筋挫傷は一般的に「肉離れ」という表現をされる。

 

症状

  • 患者は「何かが起こった感じ」「急に筋肉が切れたような感じ」などと表現する。
  • 疼痛
  • 脱力感

 

発症部位

下肢における筋挫傷を起こしやすい部位」はいかとなる。

  • 大腿四頭筋
  • ハムストリングス
  • 下腿三頭筋

※羽状筋で二関節筋に多い。

 

 

外反母趾

 

外反母趾は「母趾のMP関節が外反を呈した状態」を指す。

 

重度になるとMP関節の亜脱臼が生じる。

また、MP関節付近にバニオン(滑液包炎)が形成されることがある。

※以下イラスト参照。

 

 

原因

外反母趾の原因としては以下などが挙げられる。

  • (足に合わない)靴・ハイヒール
  • 老化(⇒偏平足⇒外反母趾へと進行)
  • 関節リウマチ

 

治療

治療としては以下などが挙げられる。

  • 免荷パット(MP関節外反位を整復位に矯正する作用あり) 
  • 手術

 

ちなみに、外反母趾の免荷パットはネット通販でも購入でき、例えば楽天市場では以下などが人気のようだ

 

 

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