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五行学説を詳細解説!! 「五行の色体表」は丸暗記しないと国試に落ちる(PDFダウンロードもできるよ)

東洋医学
五行学説を詳細解説!! 「五行の色体表」は丸暗記しないと国試に落ちる(PDFダウンロードもできるよ)

この記事では、五行学説を解説している。

 

目次

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五行学説とは

 

五行学説とは以下を指す。

 

自然界や人間界などの様々な現象を木・火・土・金・水(もっかどこんすい)の5つの性質に分類し、その関係性を考える哲学的理論。

 

世界の構成要素をが5種類であるという考えに基づいており、陰陽学説とは別に発生したと考えられている。

 

五行学説は、国家試験合格を目的するのであれば、(非常に面倒くさいが)丸暗記する必要がある。

 

五行学説における「各要素の詳細」は、国家試験合格レベルでは不要な知識なため、まずは丸暗記に努めよう!!

 

五行色体表

 

ここから先は、五行色体の「一覧表」+「空欄表」を記載している。

 

「空欄表」は「一覧表」と見比べて答え合わせをしながら暗記をするのに活用してみて欲しい。

 

五行色体の一覧表

 

五行
五方 中央 西
五色
五時 長夏
五能
五気 熱(暑) 湿
五音
五臭 臊(羶)
五臓
五腑 小腸 大腸 膀胱
五華 面・色
五官
五液 涕(てい) 唾(だ)
五味 鹹(かん)
五体 血脈 肌肉 皮毛 骨・髄
五神
五脈
五志 憂(ゆう) 恐(きょう)
五声 哭(こく) 呻(しん)
五病 噫(あい) 呑(どん) 咳(がい) 欠(けつ)
五労 久行 久視 久坐 久臥 久立
五役

 

※飲食物の五行(五果・五菜・五畜・五穀)は割愛している(国試に出題されたことが無いため)。

五病五脈は記載しているが覚えなくて良い(国試に出題されたことが無いため)。

※五体は「皮⇒皮毛」「骨⇒骨・髄」で記載している。

五腑(六腑から三焦を除いたもの)と五役を付け加えている。

 

発音が分からない方は、以下の動画も参考にしてみて欲しい。

 

 

五行色体の空欄表

 

「空欄表」は「一覧表」と見比べて答え合わせをしながら暗記をするのに活用してみて欲しい。

 

五行
五方          
五色          
五時          
五能          
五気          
五音          
五臭          
五臓          
五腑          
五華          
五官          
五液          
五味          
五体          
五神          
五脈          
五志          
五声          
五病          
五労          
五役          

 

五行色体の覚え方

 

五行色体の覚え方としては以下などが挙げられる。

  • 呪文のように唱える。
  • 木・火・土・金・水に該当するものを、自分なりにこじつけで良いので関連付けてイメージしつつ覚える。
  • 用紙に書いて覚える。

 

単語カードを使う(例えば「表面⇒五方・裏面⇒東・南・中央・北・西」などと記入する)のもアリだと思う。

 

用紙に書く際は、以下にダウンロードできる用紙もあるので、ぜひ活用してみてほしい。

 

五行色体表をダウンロード

 

五行色体表をPDF or Word  でダウンロードしたい方は以下からどうぞ。

 

⇒『PDF:五行色体の一覧+練習用紙

 

⇒『Word:五行色体の一覧+練習用紙

 

 

五行学説の詳細①

 

冒頭で以下のように記載した。

 

五行学説における「各要素の詳細」は、国家試験合格レベルでは不要な知識なため、まずは丸暗記に努めよう!!

 

しかし「五行学説についての詳細を理解したほうが暗記しやすい」という方もいると思うので、補足として五行学説の詳細を記載しておく。

 

五行学説とは(冒頭で記載した通り)以下を指す。

 

自然界や人間界などの様々な現象を木・火・土・金・水(もっかどこんすい)の5つの性質に分類し、その関係性を考える哲学的理論。

 

五行分類

 

「似た者は似たように働く」という発想法から、五行間に働いている関係を法則化し、五行と性質が似た事物・事象を対応させる(これを五行分類と呼ぶ)。

 

ちなみに、五行分類のベースとなる木・火・土・金・水の獲得性は以下の通り。

  • 木の特性:曲直・成長・昇発、のびのびした姿
  • 火の特性:炎上・温熱・上昇
  • 土の特性:稼穡(播種と収穫)、生化、継承、受納
  • 金の特性:従革(変革)、清潔、粛降、収斂(しゅうれん)
  • 水の特性:潤下(滋潤と向下性)、寒涼

 

ここからは、各五行について解説していく。

 

五方

五行の方位

 

五色

五色は顔色などを見る際に参考となる。

肝の病では顔色は青くなり、心の病では赤くなり、脾の病では黄色くなり、肺の病では白くなり、腎の病では黒くなる。

相生関係の顔色であれば治りやすいが、相克関係の色では治り辛い。

春に顔色に青味がかかるのは正常である。

 

五時

五臓に応ずる季節のこと。

例えば、春は肝機能が狂いやすくなり、秋には喘息などの呼吸器の病になりやすい。

 

五能

発生、生長、生化、収納、貯蔵の過程・性能。

 

五気

単に季節の気候特徴をいう場合は五気であり、気候が病因となる場合は五悪という。

 

五音

五音は、五階で音の高さを示す。

病者の声がいずれの音に属するかによって五臓の障害を診察する。

  • 角音は強く鋭い発音
  • 微音は胸からでる発音で、歯を合わせて出る激しい発音
  • 宮音は五音の中で中庸の音声
  • 商音は清くさえ悲哀の情を含む発音
  • 羽音は弱々しいしい力のこもらない発音

 

五臭

口臭や体臭、排泄物の臭いからどの臓の病かを知る。

患者自身が嗅覚の障害を起こしたものは心の病に属する。

以下を五臓と関連して考える。

  • 羶(臊)は脂のなまぐささ・獣肉のにおい
  • 焦はこげくさいにおい
  • 香はかんばしいにおい
  • 腥は魚肉のなまぐさいにおい
  • 腐はくさったにおい

 

五華

五臓の主る付属機関。

五臓が弱ったときに反応の出やすいところ。

 

五官

五臓の外部的な働きをするところ。

また、五臓の反応の現れやすい部位である。

 

五液

五臓が病んだ時の体表物の過剰あるいは減少が起こる。

肝は目に関係し、涙が自然に出たり、出なくて目が乾燥したりする。

心は皮膚と関係し汗となり、心病では冷や汗をかき、脾は口に関係し涎となり、肺は鼻と関係し涕となり、腎が弱り水分代謝が狂うと生唾が口中にたまる。

涎と唾の違いは、唾液中の清い水様のものを涎といい、粘りのあるのを唾という。

 

五味

五行に割り当てられた味のこと。

その人が、好む味でどの臓が病んでいるか参考にする。

五臓の良い味のことを五宣と言い、各々の子に当たる味である。

また五臓に良くない味を五悪味といい、相克関係による味である。

 

五体

五臓が栄養を補充するもの、五臓の主る器官・組織のこと。

五臓が病むと五主に反映し、肝病では筋がひきつったり、肺病で呼吸器の弱い人は皮毛が濃くなる。

 

五神

五臓を主る精神作用。

  • 木の魂とは精神活動の根源をなし陽に属し神に伴って往き来するもので、現実性の乏しくなった空想、夢の世界に働く機能で、意識の不明瞭な場合で、夢遊、うわごとなどの病症をあらわす。
  • 火の神とは、陽に属し、高級な精神機能、理性とか叡智とかの働きを指す。
  • 土の意智の意は、何らかの行為をしようと志を立てる前の思慮作用を意味し、智は深遠な思慮によって行為に移し、その結果として得た知識内容をいう。
  • 金の魄は肉体活動の根源をなし陰に属し精と共に出入りするもので、本能的感覚(聴覚・視覚・知覚)、体の動作、病的な痛みとか痒み、痺れ感などをなすとか精神機能の病的変形的なものを指すなどと言われる。
  • 水の精は生命の基本で陰に属し、志は意の存するところを志といい、意の不変なもので、思慮の結果、一つの行為が行われようとする意識で大いに怒りて止まらざれば志を傷つけるという。

肝病では根気が無くなり、脾病では意思薄弱となって知恵が出なくなり、肺の魄が傷つけられると精神状態が憂鬱になるという。

 

五志

五志はそれぞれの臓腑の病の際に発する感情。

  • 肝を病む人は常に怒りっぽい。
  • 心病では喜び、又は笑い過ぎる。
  • 脾病はものごとを考え思慮することが多い。
  • 肺の病では憂えることが多く、又は悲しみやすい。
  • 腎の弱い人は常に驚きやすく恐れている。また、逆に激しい感情は属する臓腑を傷つける。

怒り過ぎれば肝を、喜び過ぎれば心を、思い過ぎれば脾を、憂い過ぎれば肺を、恐れ過ぎれば腎を傷つける。

 

五声

五声は、五臓が病んだ時の声の特徴で診察時に利用される。

  • 肝病の人は、しょっちゅう呼ぶような、怒鳴るような大きな声を出し、病気の苦痛を訴える。
  • 心病の人はおしゃべりになったり笑い上戸になったり、平常無口のものでも多く話すようになる。
  • 脾病では節をつけて歌うようなものいいをし、鼻歌を歌い、道を歩く時も歌を口ずさむようになる。
  • 肺病では、内向的な性格となり、よく泣き、泣き言をいうようになる。
  • 腎では、うなり声を出し、あくびが出やすくなる。

 

五労

運動のし過ぎや同一姿勢を続けると臓腑を病みやすくなる。

 

 

五行の関係

 

五行の相生関係(母子関係)

相生とは、一つの物事が別の物事に対して、促進、助長、養成などの作用をするということで、相生関係とは、五行の一つが、特定の相手を生ずる(育成する、保護する、援助するなどの働き)という関係で、循環を繰り返す。

相生の順序:木生火、火生土、土生金、金生水、水生木

 

 

五行の相克関係

相克とは、一つの事物が、別の事物の成長と機能に対して、抑制と制約の作用をするということで、五行の一つが特定の相手を克する(勝つ、抑える、支配するなどの働き)という関係で、循環を繰り返す。

相克の順序:木克土、土克火、火克金、金克木

 

 

五行の相乗関係

相乗の「乗」はつけこむとか凌ぐという意味があり、克する相手を克しすぎるという異常な相克反応が起きること。これには二通りがある。

  • 一つは、克するもの自身が強すぎて克される者を克しすぎる場合(例:木が強くなりすぎて土を克しすぎる=木乗土)
  • もう一つは、克される者が弱くなってしまい、結果的に克する者が強くなってしまう場合(例:木は普通であるが、土が何かの原因で弱くなってしまう=土虚木乗)

 

 

五行の相悔関係(反克関係)

相悔の「悔」とは侮とか馬鹿にするという意味で、克する者よりも克される相手の方が強くなること。これにも二通りある。

  • 一つは、克さえる相手が強くなり克するものを侮る場合(例:土の勢いが強くなり、木を侮る=土侮木)
  • もう一つは、克する者が弱くなり、結果的に克される相手が強くなってしまう場合(例:土は普通であるが、木が何らかの原因で弱くなってしまう場合=木虚土侮)

 

 

五行学説の詳細②(医学への応用)

 

人体を構成する各臓腑や経絡、組織や器官をそれぞれ五行に当てはめ、臓腑同士あるいは経絡同士の相互関係を五行の理論に基づいて考える。

 

正常な状態は相生と相克によって説明され、病的な状態は相乗と相侮によって説明される。

 

五行と五臓

 

木=肝

肝には「気や血をスムーズに流す働き=疏泄機能(そせつきのう)」がある。

また、肝は「気分」「感情」「情緒」などと深い関りがある。

そのため、普段からストレスや不満がある生活をしていると、肝に影響すると考える。

肝の働きが正常であれば、気や血はサラサラ流れ、気分もスッキリしていられる。

このような肝の働きに「樹木がのびのびと生長し、枝を広げる様子=曲直」をイメージした。

 

火=心

心は、血液循環の要として体中に血を送り出すことから、この働きが自然界の全てに光や熱を注ぐ太陽のような温熱性(炎上)のイメージから、心の火に対応させる。

 

土=脾

生き物が死ぬと土にかえり、土はそれらを分解し、また新しい生命を養う栄養を作り出す(稼穡;かしょく)。

脾は消化の中心となる臓で、人間が食べ物を消化する働きに似ているので、脾を土に対応させた。

 

金=肺

肺は、外の世界と接する唯一の臓器である。

空気が冷えていたり、汚れていたりすると肺はすぐに影響を受ける。

金属も放っておくと、錆びたり変色したりするので空気には敏感であるため、肺を金に対応させた。

 

水=腎

人は体の中の余った水を、汗や尿などとして排泄している。

これには、腎だけではなく、他の臓腑も関係するが一番中心となるのは腎と考えた。

このことから腎を水に対応させた。

 

 

五臓間の相互関係

 

五臓の機能活動は、それぞれ独立しているわけではなく、相互に関連しあい影響を及ぼしている。

五臓間にも相生・相克の理論が当てはまる。

 

相生関係

五臓が相互に生み出しあう関係は、五行の相生理論で説明される。

  • 肝は木に属し、心火を生じる。肝は火を暮らして心を助ける。
  • 心は火に属し、脾土を生じる。心陽(心の機能)は脾を温めて助ける。
  • 脾は土に属し、肺金を生じる。脾気は飲食の栄養を肺へ持ち上げる。
  • 肺は金に属し、腎水を生じる。肺金は飲食物の水分を全身に巡らせ、不要となった水分を腎が処理する。
  • 腎は水に属し、肝木を生じる。腎は蔵している精で、肝の蔵している血を滋養する。

 

五臓の相克

五臓が相互に抑制しあう関係は、五行の相克の理論で説明される。

  • 心は火に属し、腎水に抑制される。腎克心
  • 肺は金に属し、心火に抑制される。心克肺
  • 脾は土に属し、肝木に制御される。肝克脾
  • 腎は水に属し、脾土に制御される。脾克腎
  • 肝は木に属し、肺金に制御される。肺克肝

 

 

五臓の病変の伝変

 

  • 五臓は病的な状況においてもお互いに影響を及ぼし合う。
  • 五行学説は、病的な状況における臓腑間の相互関係を分析する際にも応用される。
  • 一つの臓の病変は他の臓に伝わりうるし、他の臓の病変もまた別の臓へ伝わりうる。
  • 病的な状況のもとで臓腑が相互に影響を及ぼすことを伝変という。相生関係の伝変と、相克関係の伝変がある。

 

相生関係の伝変

「母病、子に及ぼす」と「子病、母を犯す」の二つがある。

  • 母病、子に及ぼす」⇒疾病の伝変が母から子に及ぶこと。
  • 子病、母を犯す」⇒疾病の伝変が子から母に及ぶこと。「子が母を犯す」状況では病状が比較的重篤であると考えられている。

 

相克関係の伝変

「相乗」「相侮」の二つがある(※五行の相乗・相侮を参照)。

相乗と相侮はいずれも、進行すると次第に一方が過剰となりもう一方が不足する病態に陥る。

一般に、相乗による場合の方が病状が重篤であり、相侮による場合の方が病状が軽いと考えられている。

 

 

診断と治療に用いる

 

診断

人体は有機的な生体であるから、体内に疾病があるとその兆候は体表に現れる。

よって疾病の診断に際しては、現れた徴候を五色や五音、五声、五味、五臭などはみな五行に帰属させ、五臓のどこにどのような病変があるかを推測する。

 

治療

①未病を治す

ある疾病が次の疾病を引き起こさないように、五行の理論で治療し、病を予防する。

東洋医学の治療では一番大切なこと!!!

例:肝の病⇒木克土により脾に病が伝わらないように脾を治療する。

 

②相生の法則による治療

ⅰ)「母を補う」

母子関係にある疾病で虚証(偏衰)の場合に用いる。

『難経』六十九難の「虚するときはその母を補う」を原則とする。

また、母を補うだけでなく、子(自分)を充実させる。

例:肝の力が弱い肝虚証の場合、肝の母である腎水を補う。

経穴は母経(腎経)の水穴(陰谷穴)と自経(肝経)の水穴(曲泉穴)を用いて治療する。

 

ⅱ)「子を瀉す」

母子関係にある疾病で実証(≠偏盛)の場合に用いる。

『難経』六十九難の「実するときはその子を瀉す」を原則とする。

また、子を瀉すだけでなく母(自分)を助ける。

例:肝の力が強すぎる場合、肝の子である心火を瀉す。

経穴は子経(心経)の火穴(少府穴)と自経(肝経)の火穴(行間穴)を用いて治療する。

 

③相克の法則による治療

相克と相乗の場合がある。

 

 

関連記事

 

以下の記事では、五行学説の 「相生・相克・相乗・相侮の関係」について、端的に解説しているので、合わせて観覧すると理解が深まると思う。

 

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