
五臓・六腑は、各々が人体において異なった働きをしている。
この点に関して、昔の人は「当時の政府の官職名に例えて説明している。
※例えば、心は「主君の官」、肝は「将軍の官」など。
官職も臓腑も「各々が異なった役割を持ちながらも、協調して働いている」という意味で共通しているのだが、今回は五臓六腑がどんな官職名で呼ばれていたかを紹介していく。
五臓(六蔵)
五臓 | 肝 | 心 | 脾 | 肺 | 腎 | 心包 |
呼称 | 将軍の官 | 君主の官 | 倉廩の官 | 相博の官 | 作用の官 | 臣使の官 |
※上記は、五臓に心包を加えて「六蔵」を記載している。
- 肝⇒将軍の官(しょうぐんのかん)
- 心⇒君主の官(くんしゅのかん)
- 脾⇒倉廩の官(そうりんのかん)
- 肺⇒相博の官(そうふのかん)
- 腎⇒作用の官(さようのかん)
- 心包⇒臣使の官(しんしのかん)
五臓六腑には別名があり、具体的には以下になる。
- 心 は君主の官=神明ここに出ず
- 肺 は相傅の官=治節ここに出ず
- 肝 は将軍の官=謀慮ここに出ず
- 胆 は正中の官=決断ここに出ず
- 膻中は臣使の官=喜楽ここに出ず
- 脾胃は倉廩の官=五味ここに出ず
- 大腸は伝導の官=変化ここに出ず
- 小腸は受盛の官=化物ここに出ず
- 腎 は作強の官=伎巧ここに出ず
- 三焦は決瀆の官=水道ここに出ず
- 膀胱は州都の官=津液ここに蔵さる
心
君主の官(くんしゅのかん)=神明ここに出ず
君主は、現在でいうところの天皇
肺
相傅の官(そうふのかん)=治節ここに出ず
傅は扶(ふ)と同義。扶養の「扶」であり、扶ける(たすける)という意味がある。
肝
将軍の官(しょうぐんのかん)=謀慮(ぼうりょ)ここに出ず
胆
正中の官(せいちゅうのかん)=決断ここに出ず
胆は体の正中にあるので公正中立、役職としては裁判官。
胆は精神活動とのかかわりが深く、胆がしっかりしていると決断が出来る。
膻中
臣使の官(きょしのかん) =喜楽ここに出ず
膻中は心包のことを指す。
心包は「心を守る」というイメージから、役職は家来・守衛。
脾胃
倉廩の官(そうりんのかん)=五味ここに出ず
倉廩は倉庫を意味する。
大腸
伝導の官(でんどうのかん)=変化ここに出ず
伝導は「上から下へ流す」という意味がある。
役職は「衛生面を管理する人」。
小腸
受盛の官(じゅせいのかん)=化物ここに出ず
受盛は、飲食物の残り物を受け取ること。
役職は「予算を分配する役人」。
腎
作強の官(さきょうのかん)=伎巧(ぎこう)ここに出ず
伎巧と技巧と同義。
作強は、根気強いこと。
役職は「防衛省」。
三焦
決瀆の官(けっとくのかん)=水道ここに出ず
「決=通じる」「瀆=水道・下水道」の意味。
膀胱
州都の官(しゅうとのかん)=津液ここに蔵さる
州都は、沢山集めること。
六腑
六腑 | 胆 | 小腸 | 胃 | 大腸 | 膀胱 | 三焦 |
呼称 | 中正の官 | 受盛の官 | 倉廩の官 | 伝導の官 | 州都の官 | 決瀆の官 |
- 胆⇒中正の官(ちゅうせいのかん)
- 小腸⇒受盛の官(じゅせいのかん)
- 胃⇒倉廩の官(そうりんのかん)
- 大腸⇒伝導の官(でんどうのかん)
- 膀胱⇒州都の官(しゅうとのかん)
- 三焦⇒決瀆の官(けっとく)
まとめ
五臓 | 肝 | 心 | 脾 | 肺 | 腎 | 心包 |
呼称 | 将軍の官 | 君主の官 | 倉廩の官 | 相博の官 | 作用の官 | 臣使の官 |
六腑 | 胆 | 小腸 | 胃 | 大腸 | 膀胱 | 三焦 |
呼称 | 中正の官 | 受盛の官 | 倉廩の官 | 伝導の官 | 州都の官 | 決瀆の官 |