【疾患まとめ】手関節~手部の疾患

整形外科 - 疾患まとめ(整形外科)

この記事では「手関節~手部の疾患」について解説していく。

 

目次

閉じる

de Quervan病(ドゥ・ケルバン病)

 

ドゥ・ケルバン病は以下の病態を指す。

長母指外転筋腱」と「短母指伸筋腱」の過度の運動による狭窄性腱鞘炎
過度の運動により腱鞘に機械的ストレス刺激が加わり、炎症・浮腫が生じる(浮腫により更に狭窄が生じる)。

 

発症機転

  • 母指の伸展や外転・手関節の尺屈(+母指内転)などによる腱への伸展刺激の反復が原因となり、日常的に手指をよく使う(タイピングなど)職業で多く発症する。
  • 女性に多い(男女比1:7)。その理由としては「母指外転時に短母指伸筋腱と長母指外転筋は伸筋支帯第1区画で大きくカーブし、その角度が男性よりも女性のほうが大きいため」などと言われている。

 

特徴

  • 中高年以上の女性に多い。
  • 産後数カ月の女性が多い。

「産後数カ月の女性に多い理由」としては以下のように言われている。

ちょうど生後数カ月目に赤ちゃんの首がすわってくるので、親は「赤ちゃんの両脇で抱えるように抱く」ようになる(生後すぐは首がすわっていないので、この様な抱き方は出来ない)。この動作は、手関節尺屈動作を伴うので、この様な抱き方を反復することでドゥ・ケルバン病が生じる。

 

症状

母指の中手骨基部から橈骨茎状突起にかけての自発痛・運動痛・圧痛(+腫脹・熱感・発赤)

 

疼痛誘発テスト

  • アイヒホッフテスト
  • ファンケルシュタインテスト

上記テストに関しては以下のリンク先で詳しく解説している。

⇒『アイヒホッフテスト+ファンケルシュタインテスト(+違い)を解説!!

 

 

治療

  • 原因動作の禁止
  • 局所の安静⇒固定
  • 腱鞘内注射

 

 

弾発指(ばね指)

 

弾発指(ばね指)の特徴は以下の通り。

 

概要

  • 手指屈筋腱MP関節掌側部の狭窄性腱鞘炎
  • 中高年以降の女性が多い。

 

好発部位

母指・示指・環指

 

症状

  • 指屈伸時に引っかかる
  • MP関節掌側側に腫瘤を触れる。
  • 自発痛・圧痛。

 

 

治療

  • 保存療法:安静・抗炎症薬・腱鞘内注射(ステロイド)
  • 手術療法:保存療法で改善せずADLに支障をきたしたり、lockingの状態のままであれば適当となる(腱切開術)

 

Dupuytren拘縮(デュプイトラン拘縮)

 

ドュプイトラン拘縮の概要は以下の通り。

中高年以降の男性両側性(ときに片側性)に出現する指の進行性屈曲拘縮(指が伸展できない)

 

病態

尺側の指(小指)から進行

手掌腱膜の瘢痕性肥厚(線維腫症)による。

原因不明。

MP関節・PIP関節の拘縮(DIP関節は動く)

 

治療

手術(肥厚した手掌腱膜の切除)

マッサージで悪化することは無い。

 

Heberden結節(へバーデン結節)

 

へバーデン結節の概要は以下の通り。

「手指DIP関節変形性関節症」が両側性に生じる。で中年以降の女性に多い。

 

症状

  • (変形の)進行中はDIP関節に疼痛・圧痛が生じる。
  • (変形の)進行が止まると、疼痛消失する(変形は残存)。
  • 変形のみで、疼痛が無い人もいる。
高齢者では、「既に進行が止まっており、変形が残存している状態」な人も多い。その様な方に問診すると「気が付いたら変形していた。痛みは無かった」との発言がみられることがある。ただし、これら患者は「進行中に生じていた疼痛を単に忘れてしまっていただけ」な可能性もある(いわゆる喉元過ぎれば熱さ忘れるというやつ)。

 

診断

単純X線で骨棘証明

 

治療

  • NSAIDsの内服・塗り薬(進行中の疼痛を軽減させるための対処療法)。
  • 以下のポイントを伝えることも大切。

「変形が進行している間は疼痛が持続しやすいが、いずれ必ず痛みは治まる」と伝える。また、「変形は残存するので指輪は必ず外しておくこと」も伝える(手術をしない限りは、指輪が抜けなくなる)。

 

Bouchard結節(ブシャール結節)

 

ブシャール結節とは「手指PIP関節の変形性関節症」を指す。

・手指DIP関節の変形性関節症⇒へバーデン結節

・手指PIP関節の変形性関節症⇒ブシャール結節

 

ヘバーデン結節とブシャール結節は単独で生じることもあれば、合併することもある。

ヘバーデン結節の方が発症頻度は高い。

 

 

ガングリオン

 

ガングリオンの概要は以下の通り。

関節包・靭帯・腱鞘などに茎部を持つ線維性の包の中にゼリー状の濃縮されたヒアルロン酸を包む良性の腫瘍。
 

 

好発部位

手関節背側・足背・膝窩部。

※全身どこにでもできる(場所によっては手根管症候群の原因となる)

※原因は不明

 

症状

  • 腫瘤
  • 弾発硬
  • 境界線が明瞭+ガングリオンがコロコロ動く
ガングリオンはヒアルロン酸で出来ているが「軟骨ではないか?」と勘違いするくらい硬く、コロコロと動く。潰すと消失するが、再発する。

 

良性・悪性を疑うポイント

良性を疑うポイントは以下の通り。

  • 可動性がある・小さい・柔らかい・痛みがない・・・など。

 

悪性を疑うポイントは以下になる。

  • 急速に大きくなっている・大きさが5cm以上・深部に局在・痛みがある・・・など。

 

治療

  1. 圧砕(押しつぶして砕く・痛い)
  2. 穿刺吸引(ゼリー状で淡黄色透明でゼリー状なヒアルロン酸が吸引できる)
  3. 摘出術

※①②は袋が残っているので、再発する。

 

 

 

槌指(ハンマー指:mallet finger)

 

槌指(マレットフィンガー)の特徴は以下の通り。

  • DIP関節の伸展不能
  • 手指伸筋腱断裂+末節骨背側基底部の剥離骨折

 

治療

  • 新鮮例⇒保存療法(DIP関節伸展位で固定)
  • 陳旧例⇒手術的

 

各部位疾患まとめ

 

以下の記事では、整形外科的疾患を部位一覧として記載している。

この記事と合わせて観覧してみて欲しい。

 

⇒『各部位における整形外科的疾患の概要

関連記事
テキストのコピーはできません。