全国に存在する「あん摩マッサージ指圧学校」のほとんどは「鍼灸とセットでしか学べない学校」となっている。
しかし一方で、「あん摩マッサージ指圧の国家資格だけがを取得できる学校」を探している人は多い。
その理由としては以下などがある。
- 既に鍼灸師の資格を持っているので、鍼灸の勉強は不要
- 鍼灸に苦手意識を持っている
- 卒後は(鍼灸使わず)あん摩マッサージ指圧で仕事をしていきたいと思っている
- 鍼灸授業がない分、多少は勉強量が少なくなるので、学校生活に余裕ができる
- 鍼灸授業がない分、拘束時間が短くなるので、余った時間を有効に使える
- 鍼灸授業がない分、学費が安くなるのではと考えている(後述)
・・・などなど。
そして全国に、「あん摩マッサージ指圧だけが学べる学校」は3校しか存在せず、その内関東にあるのは以下の2校のみ(2校とも東京にある)。
- 長生学園
- 日本指圧専門学校
残りの1校は京都にある『京都仏眼鍼灸理療専門学校』だが、こちらは「夜間部のみ」となる(昼間部は鍼灸も学ぶ必要がある)。
この記事では、そんな東日本に唯一2校存在する「長生学園」と「日本指圧専門学校(浪越学園)」に関して以下の点にフォーカスした記事となっている。
- 学ぶ技術の違い
- 授業料の違い
長生学園の技術・授業料
長生学園の技術
長生学園と日本指圧専門学校は、どちらも「あん摩マッサージ指圧」を学ぶ。
しかし長生学園では、それに加えて『長生術』を学ぶ。
長生学園は「あん摩マッサージ指圧の学校」ではあると同時に、あん摩マッサージ指圧と同等な量の「長生術の授業」がカリキュラムに組み込まれており、これをメリット・デメリットどちらに解釈するかは人それぞれ。
「他のあん摩マッサージ指圧師と差別化を図りたい」と考えているなら長生学園はアリかもしれない。
長生学園の学費
長生学園の学費は約330万円」であり、あん摩マッサージ指圧を学べる学校(鍼灸学校も含む)ではトップレベルの安さを誇る。
関連記事⇒『学費の安いマッサージ学校をランキングで発表』
その理由は「鍼灸のカリキュラムがないから」と考えると納得がいくのだが、(後述する)日本指圧専門学校は高いので、近隣の物価も影響しているのだと思われる。
※長生学園は東京でも下町な雰囲気が漂う地域に存在する。
物価が低いということは、周辺に住むための家賃も安くなる(とはいっても東京なのでそこそこ高いが・・)。
また、小規模であるものの男性寮が完備されているので、運が良ければ入居可能かもしれない(寮は6部屋のみ)。
寮は学校から徒歩10秒の距離なので、始業時間の1分前に出発すれば確実に間に合う。
関連記事⇒『長生学園を紹介するよ』
日本指圧専門学校(浪越学園)の特徴
日本指圧学校(浪越学園)の特徴
日本指圧学校は、その名の通り「指圧を重視した学校」となる。
それもそのはず、日本独自の技術である「指圧」を日本・海外に知らしめた故・浪越徳治郎氏が創立した学校なので。
あん摩マッサージ指圧学校のカリキュラム上、あん摩マッサージも授業に入っているが、以下の様に圧倒的に指圧実技の時間が多い。
具体的には以下の通り(2019年度カリキュラム)
日本指圧学校(浪越学園)の学費
日本指圧専門学校の学費は373万円と、長生学園(330万円)よりも高い。
これは恐らく学校の立地場所が影響しているのではないだろうか(物価が高いかどうか)。
特に「長生術」とか「指圧特化」などに拘らず、単純に「マッサージ資格だけ取得したいと思っている方(鍼灸資格をすでに有しており、マッサージも得意などなケース)」は長生学園が選択肢に入りやすいかもしれない。
※ただし浪越学園も、「鍼灸とセットで学べる学校」と比べるとトップクラスに学費が安い。
関連記事⇒『学費の安いマッサージ学校をランキングで発表』
浪越学園(日本指圧専門学校)については以下の記事でも解説している。
関連記事⇒『日本指圧専門学校を解説するよ』
長生学園・日本指圧専門学校がおススメな人
冒頭でも記載したが、改めて「マッサージのみが学べる学校」への入学がおススメなのは以下な人達だと感じる。
- あん摩マッサージ指圧を究めたい。
- あん摩マッサージ指圧に特化した学校へ行きたい
- 鍼灸の勉強も同時に出来るか不安。とりあえずマサージだけに的を絞って資格を取りたい。
- 鍼灸は自分に向いていない気がする(マッサージの方が自分に向いている気がする)
- 既に鍼灸の資格を持っていて、+αであん摩マッサージ指圧の勉強をしたい
- 病院・施設で働く予定。これらの場所で鍼灸を使える可能性は低そうだから、あん摩マッサージ指圧だけ勉強したい。
- 医療従事者・介護従事者として既に病院・施設で働いており、+αとしてのスキルアップであん摩マッサージ指圧の勉強をしたい。
・・・・などなど。
【注意】鍼灸は本当に不要なのかを考える
個人的には鍼灸は不要だと思っているが、この点が曖昧だと「やっぱり鍼灸も取得できる学校が良かったな・・・」っと後悔してしまうこともある。
既にダブルライセンス(何かの資格を有していて、+αでマッサージを学びたい場合)は別として、将来的にマッサージの資格で独立開業を目指すのであれば「鍼灸も使えたほうが武器になる可能性」も踏まえて熟慮してもらいたい。
とある企業のデータによると、あん摩マッサージ指圧師で「独立している人」の内、鍼灸師資格も有している人(ダブルラインセンスな人)の割合が圧倒的に高かったというデータもある。
結局「あん摩マッサージ指圧学校」でも「鍼灸・あん摩マッサージ指圧学校」でも3年間学校に通うというのは同じなわけで。
また、解剖・生理・病理など学ぶ内容も被っているので、「個別に資格取得するより、勉強時間が大幅に短縮できて効率的」というメリットもある。
後悔して鍼灸学校に通いなおすことを考えると、金銭的・時間的にも同時に学んでおいた方がお得である。
なので情報収集して後悔しないようにしてほしい。
この記事でも、とりあえず一例を示してみると以下な感じ。
実費施術(保険を用いない施術)をするのであれば、あん摩マッサージ指圧師は整体師(無資格でも可能な職業)との差別化が図りにくい(施術者本人は差別化が出来ている、優位性を持っているつもりでいても、とうのクライアントは違いが分かっていない)ことも多い。
ただし、鍼灸師は無資格者では類似行為が出来ないので、持っていると差別化は図り易い。
一応、あん摩マッサージ指圧師と整体師の違いについては以下の記事も作成しているので、興味がある方は合わせて観覧してみてほしい。
「鍼灸も学べる学校は、マッサージの学びが薄い」は暴論
ちなみに、鍼灸・あん摩マッサージ学校は「あん摩マッサージ指圧に関する学び薄い」っと考えるのは乱暴な発想である。
っというのも、最終的には「あん摩マッサージ指圧師の国家試験」に合格する必要があるので、きちんとした理論を学校で学ぶ必要があるからだ(国が定めた基準を満たしたカリキュラムでなければ学校として成立しない)。
当然ながら、実技授業に関しても「一定水準の技術を学ばせること」が学校に課せられている。
ただし、あん摩マッサージ指圧の実技に割く割合は千差万別なので、「あん摩マッサージ指圧単独のみ学ぶ学校」と比べると物足りない可能性もある。
余談
最後に余談を。
前述したように、長生学園・日本指圧専門学校ともに「単にあん摩マッサージ指圧を学べる」のではなく、特徴を持った学校だ。
これは裏を返せば「バランス良く、あん摩+マッサージ+指圧を学ぼう」という校風ではないと感じる。
長生学園は「長生術」に価値を見出しているし、日本指圧専門学校は「指圧」に価値を見出している。
っとなると、独自の考えに染まるのではなく「バランス良く、あん摩+マッサージ+指圧を学ぼう」と思うのであれば「鍼灸とセットになている学校の方が良いのでは?」という考えも一理ありそうだ。
※その点、京都にある「京都仏眼鍼灸理療専門学校」は「(夜間部限定で)あん摩マッサージ指圧のみを学べる学校」でありながらも、学校独自の特徴を前面には押し出してはいないので、裏を返せば「バランス良くあん摩マッサージ指圧を学べる学校」と言い換えることが出来るかもしれない。
終わりに
いかがだっただろうか?
マッサージのみ学べる学校を紹介したが、ここで記載した様に色々な可能性も考えて学校選びをしてほしい。
ただし、鍼灸も一緒に学ぼうと思った場合、3年間で学ぶ量が膨大になるのは事実。
もちろん「自主練習をしたい」と思った場合も、鍼灸・マッサージの両方に割ける時間は分散してしまい、結局どちらも中途半端となってしまう可能性も無きにしも非ず。
余裕をもってあん摩マッサージ指圧だけに時間を割きたいなら、長生学園・日本指圧専門学校はおススメだ。
各々のメリット・デメリットを見極めて自身に合った進路を選択する参考にしてみてほしい。
関連記事
⇒『長生学園を紹介するよ』