「吉田流あん摩」の特徴・線揉みのポイントを解説(動画あり)

専門用語(マッサージ関連)

この記事では、日本に伝わる按摩療法の代表格とされるのが「吉田流あん摩術」について記載していく。

 

幕末に生まれたこの手技は、弦楽器の弦を弾くように筋線維を揉む"線状揉み"をはじめ、独特の揉み方が特徴だ。

 

吉田流あん摩術の動画、学べる学校も紹介しているので、興味がある方は是非観覧してみてほしい。

 

吉田流あん摩術の発祥について

 

北埼玉郡で産声を上げた吉田流按摩の開祖吉田久庵(よしだ きゅうあん)は、郷里の医師のもとで学んだ後、長崎に渡り蘭医術の精緻さに感銘を受けた。

 

鍼灸導引を極めて江戸に帰り、1832年、床見世で施術を始めたところ患者で門前市を成すまで名声を博し、吉田流は隆盛を極めた。

 

晴眼者が施す吉田流は、盲人の鍼灸師として名を馳せた杉山和一(すぎやまわいちけんぎょう)を源流とする杉山流按摩術と対時するまでに勢力を伸ばし、明治から昭和への激動
期に活躍する三世へと引き継がれた。

 

三兄弟の次男であった三世は、慈恵医専(現・東京慈恵医科大学)に進学するが、父の急死により医師への道を断念し、吉田流の普及に邁進した。

 

また、帝国大学(現・東京大学)医学部物理的療法科研究所嘱託となり、臨床・研究ともに研讃を積んだ。三世は、東京鍼按灸治会、吉田鍼灸医学校を設立するなど教育者としても頭角を現した。

 

三世の弟子の一人でもある平川荘作は、東京マッサージ師養成所(現・東京医療福祉専門学校)を開校し、後進の育成を図った。ここで、現在も多くの吉田流按摩術士が排出されている。

 

吉田流按摩術の特徴的な手技

 

吉田流按摩術は操作法、圧迫法など、多彩な手技を持つ治療法。

 

座揉みで、頚部・肩背部・腰部・上肢部・頭部を、

また寝揉みで全身を、母指揉捏法を中心に揉んでいく。

 

 

線状揉み(ずじもみ)

 

「すじもみ」の宗家である吉田流の母指揉捏法は線状揉みとも表現され、母指の腹で筋を弾くように揉むのが特徴だ。

 

すじもみとは:

すじもみとは、近位区に沿って、体を揉み和らげることを指す。

 

「線状もみ」は、弦楽器の弦を弾くように筋線維を揉むことに由来する。施術部に母指腹を置き、手首を動かしながら、軽く添えた他の指に近づけるように揉んでいく。また母指のみの運動ではなく、肩関節から運動を起こし、身体全体を用いて揉む。

 

強擦法(肘揉み・横肘揉み)+肘圧迫法・肘振せん法

 

強擦法は、肘頭に圧をかけて律動的に揺らして揉む「肘揉み」と、前腕部前面の尺側部の上側にある筋群で圧をかけながら回して揉む「横肘揉み」とがあり、強い筋疲労をはじめ身体の比較的大きい人に施術する際に用いられる。

 

肘揉み(肘圧擦法):

施術部位は骨部を避け、肘頭に圧をかけた状態で、前方に揺らしながら揉んでいく。圧をっけずに表面をこする様に施術してしまうと、皮膚を傷つけることになるので、注意すること。

 

横肘揉み(横肘圧擦法):

肘関節を約45°曲げた状態で、前腕前面の尺側の筋群を用いる手技。圧をかけながら肩関節と肘関節を回しながら筋肉の走行に沿って揉んでいく。より幅広く、刺激を与えることが出来る。

 

肘頭に圧をかける「肘圧迫法」は、痛みなど過敏な神経を鎮静させる働きがあり、さらに圧迫をかけた上で振るわせる「肘振せん法」もある。

 

 

足力

 

また、大腿後面部に用いられる足力は、大腿後面を静かに踏むことにより揉んでいく方法で、運動後の疲労回復などに効果的である。

 

 

【まとめ】吉田流あん摩術の特徴的な手技

 

吉田流あん摩術の特徴的な手技をまとめると以下になる。

 

基本手技 特徴 手技名
揉捏法 吉田流あん摩術で最も用いられる手技で、母指を筋肉の走行に対して横断するように揉みこむ。母指揉捏法など多彩。 母指揉捏法、四指揉捏法、足力など
強擦法 圧をかけた状態で、筋肉をさすりながら揉む。 肘圧擦法、横肘圧擦法など
振せん法 筋肉全体を振るわせることで、患部に振動を伝える。 肘振せん法
圧迫法 母指、示指、肘を使い、全増圧を加え、漸減圧で抜く。 肘圧迫法、母指圧迫法など

 

 

母指揉捏法のポイント

 

ここから先は、吉田流あん摩術の特徴ともいわれる「母指揉捏(による線揉み)」について記載していく。

 

 

吉田流あん摩術における「母指揉捏法」のポイントは以下の通り。

  • 母指腹または母指頭を施術部位の筋に密着させて適度な圧を加えながら、一方向に筋を数回(原則として4回)弾き、双方向には弾かない。
  • 一つの筋に対し母指の位置を変えながら遠心性に進めていく。
  • 刺激量は弱刺激から強刺激まで調整できる。

 

対象部位としては、身体のほとんどの部分に用いられ、吉田流あん摩術の根幹をなす重要な手技。

 

 

上肢の肢位

 

母指揉捏法を実施る際に留意すべき「上肢の肢位」は以下になる。

 

① 手指(母指と四指)

母指を伸展かつ掌側外転し、四指は閉じてそろえる。母指と四指は物をつかむような形にして、両者の距離については施術部位によって調整する。

 

② 手関節

母指腹を施術部位に置くとき、軽度伸展位となる。

 

③ 肘関節

前腕は回内位0°~90°の範囲内で、施術部位などに合わせた肢位とする。

 

④ 肩関節

外転位0°~90°および内旋位0°~45°の範囲内で、施術部位などに合わせた肢位とする。

 

上記の①から④の形を維持し、それぞれの関節はこの角度内で患者の体位・施術部位・施術者の姿勢に合わせて母指揉捏法が行われる。

 

 

弾くための留意点

 

上肢の基準となる肢位を保ちながら、「弾く」ためには次の内容が必要となる。

 

① 母指の施術部位への置き方(触れ方)

原則、筋の走行に対して、外側または内側から横断するように母指腹の中央、あるいは、施術部位によっては指頭や側面をあてて、皮膚面と密着させる。

 

② 圧の調整

身体の重心移動を用いて、母指の圧の強弱を調整し、指の力だけでは行わない。

施術者の姿勢や患者との位置や距離が重要となる。圧の方向は、皮膚面に対し垂直に加えていく。
弾くときの圧の強さは1回目から4回目まですべて同じとして、適度な圧を加える。

弱すぎると筋を弾けず、強すぎると筋の挫滅や皮膚の擦過につながるため、施術部位や患者の状態を考慮して、圧の強さを調整する必要がある。

 

③ 手指の動き

母指は伸展位で上記の①の通りに筋をとらえるだけで、屈曲などの動きはない。

四指は軽度屈曲して力を抜き、軽く皮膚面に触れる。母指に圧を加えたときに、同時に四指にも力が入ってしまうことが多く、手関節の動きを妨げ、また皮膚を擦過することにつながるので注意する。

 

④手関節の動き
屈曲位(掌屈位)から伸展位(背屈位)に動かすときに母指が筋を弾く。

伸展位(背屈位)から屈曲位(掌屈位)に戻すときには、母指の圧を抜き、皮膚に触れるだけとなる。

戻すときに圧が抜けない場合は、双方向に弾くことになるので注意する。

 

⑤ 肘関節・肩関節の連動

手関節の動きを作り出すために肘関節と肩関節が連動する。

各関節に過剰な力が加わった場合、一連の動作の妨げになり、スムーズな動きが生まれない。

 

 

母指揉捏法の留意点(線状揉みの4つの要素)

 

上記の内容を踏まえて、以下の4つの要素をもとにして「吉田流の線状揉み」を行う。

 

① リズムの安定

「弾く」動きを1回目から4回目まで規則的に反復することを維持する。

 

② 適度なスピードの維持

途中で速くなったり遅くなったりして揉捏の流れを乱さないように、一定のスピードを保つ。

揉捏の動作が速すぎる場合は、深部に圧が入らず、表面だけの刺激になり皮膚を擦ることになる。また、動作が小さくなり、十分に弾くことができない。
逆に揉捏の動作が遅すぎる場合は、圧迫する時間が長くなり、筋の挫滅につながる。

また、次の揉捏に移る間隔が取りづらく、スムーズな流れにつながらない。

 

 

吉田流あん摩術の実際

 

吉田流あん摩術の実際については、以下の動画も参照してほしい。

 

 

 

吉田流あん摩の参考文献

 

吉田流あん摩を学ぶにあたって、以下の書籍やDVDが参考になる。

 

書籍は以下を参照。

 

 

DVDは以下になる。

 

 

吉田流あん摩が学べるあん摩間サージ指圧師学校は「東京医療福祉専門学校」であり、記事も作成しているので興味がある方はどうぞ。

 

⇒『東京医療福祉専門学校の特徴・学費などを紹介します

関連記事
コメント
コメント投稿

コメント ( 必須 )

お名前 ( 必須 )

メールアドレス ※公開されません ( 必須 )

サイトアドレス ( 必須 )

CAPTCHA


トラックバック
トラックバックURL
テキストのコピーはできません。