この記事では、あん摩手技の基礎情報(方法・種類・作用)を簡潔にまとめている。
あん摩手技の全体像を把握したい方は是非参考にしてみてほしい。
軽擦法
方法
適度な力と速度で施術部位ごとに、施術の初めと終わりに必ず行う手技。
種類
- 手掌軽擦法
- 指顆軽擦法
- 四指軽擦法
作用
- 知覚神経を刺激して反射を起こさせる。
- 循環系の流通を良くして新陳代謝を良くする。
揉捏法
※揉捏法は、あん摩の中核をなす手技である。
方法
筋肉などの柔らかい組織を押し、捏ね、つまみ、絞るようにして揉む方法。
種類
- 手掌揉捏法
- 把握揉捏法
- 母指揉捏法
- 四指揉捏法
- 手指揉捏法
- ろとう揉捏法(腹部・腰部に用いる)
- 錐揉状(きりも)状揉捏法
- 鋸(のこぎり)状揉捏法
- 肘頭揉捏法
作用
- 主として筋肉に作用し、筋組織の循環を良くする。
- 組織の新陳代謝を盛んにする。
- 腹部施行で胃腸の蠕動運動を盛んにする。
叩打法
方法
身体の表面を施術者の手指で打ち叩く方法
種類
- 手拳叩打法
- 切打法
- 合掌叩打法
- 拍打法
- 宿気打法(含気打法・空気打法・袋打法と同義)
- 指頭打法
作用
- 神経・筋の興奮性を高める。
- 血行を良くし、機能を亢進させる。
圧迫法
方法
軟部組織を深部へ向かって圧迫する方法
種類
- 母指圧迫法
- 四指圧迫法
- 手掌圧迫法(温かい手で圧迫されると気持ちが良いといったイメージ)
- 肘頭圧迫法
作用
- 機能抑制
- 鎮痛・鎮座作用(神経痛・筋肉痛・頭痛・歯痛)。ただし炎症性なものには効果なし。
振戦
方法
4指を細かく振るわせて、その振動を組織に与える方法。
種類
- 指頭振戦法
- 手掌振戦法(腹部に用いる)
- 牽引振戦法(上下肢)
作用
- 神経・筋の興奮性を高める。
- 快い感覚を覚えさせる。
運動法
方法
患者の関節を十分に弛緩させ術者がこれを動かす方法で主として他動的に行う。
作用
- 関節内の血行を良くする。
- 滑液の分泌を良くする。
- 関節拘縮の予防。
曲手
特徴
あん摩の独自の手技で叩打法の返報である(複合手技)。
種類
- 車手(二指の曲)
- 挫き手(くじきて)⇒母指挫き・四指挫き
- 突き手
- 横手(鳴骨の術、あおり手)
- 柳手(ばら手、あら手)
- 頭の曲手
- 耳鐘の曲手
- 雷手
挫手は「指頭を当てて第一関節を屈曲、過伸展を反復するように動かす手技」である。四指挫きをイメージしやすいが母指挫きもある。29回国試では「曲手で母指を用いるのはどれか」という選択肢の正解として出題されたことがあるので覚えておこう。
横手(鳴骨の術):
開いた手の小指側の縁を体表に当てて手根を素早く前後に動かし筋肉の走行に滑らすように動かす手技である。この時、関節がコツコツと鳴るようにするために鳴骨の術とも呼ばれる。
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