【疾患まとめ】肘関節の疾患

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【疾患まとめ】肘関節の疾患

この記事では「肘関節疾患」について解説していく。

 

上腕骨外側上顆炎

 

上腕骨外側上顆炎は「テニス肘」という俗称で呼ばれることもある。

テニスが流行した時代に、上腕骨外側上顆炎も多発したことから俗称が付いた(フォアハンドではなくバックハンドで起こりやすい)。実際には、テニス以外の原因も多い。

上腕骨外側上顆炎の病態は以下の通り。

手関節伸筋群(手関節背屈筋群)・回外筋は外側上顆に付着しており、この「付着部付近の腱・骨膜」に炎症が生じたもの。
※上腕骨外側上顆の疼痛と圧痛を主徴とする。
※外側上顆は前腕伸筋群の起始部である。
 
病態
上腕骨外側上顆炎は以下により特徴づけられる。
  • 腱病変(tendon pathology)
  • 疼痛変化(motor system impairments)
  • 運動系障害(motor system impairment)
※その中で、主たる病態は短橈側手根伸筋の微細損傷と、それに伴うコラーゲン線維の乱れ、血管および感覚神経の増加であると言われている。
 

好発年齢

40~50代

※主婦・コックなどでも誘因動作を反復するすべての人に生じる可能性がある。

 

症状

上腕骨外側上顆の自発痛・圧痛・運動時痛(手関節背屈筋の収縮)

手の反復使用により疼痛をきたしやすい(特に短橈側手根伸筋)。

 

診断

上腕骨外側上顆炎は、画像所見で異常が認められないため、以下の疼痛誘発テストを診断に用いる。

  • Tomsen Test(トムゼンテスト・トムゼンテスト)
  • Chair Test(チェアーテスト)
  • 中指伸展テスト(ミドルフィンガーテスト)

 

上記検査は以下で詳しく解説しているので、合わせてチェックしてみてほしい。

⇒『上腕骨外側上顆炎の検査まとめ

 

 

治療

  • 原因となった動作の禁止
  • 手関節を良肢位(手関節背屈・手指屈曲位)で固定(ただし、固定してくれる人は稀)
  • 肘関節用サポーター(テニス肘用サポーター)
  • 手関節伸筋群の付着部(上腕骨外側上顆付近)に局所注射
  • NSAIDs

 

肘関節サポーターについて

サポーターの幅は最低3cmは必要(細すぎると皮膚にめり込んで組織が壊死する)。前腕筋腹の一番太い部分に巻く。就寝時も暴れてしまう可能性があるので重度な場合は着用しておくと良い。

以下は楽天・アマゾンで購入できるサポーターの例。

 

 

以下はエルボーバンドの着用方法となる

 

 

上腕骨外側上顆炎

 

上腕骨の「内側上顆」に炎症が生じることもあり、これを「上腕骨内側上顆炎」と呼ぶ。

※上腕骨内側上顆は「手関節掌屈筋群の起始部」である。

俗称

ゴルフのスウィング反復で生じることがあるため「ゴルフ肘」という俗称もついている。

 

誘因

また、例えば看護・介護などで肘関節屈曲+手関節掌屈(例えば患者を抱えるなど)を繰り返す場合に生じやすい。

ただし、外側上顆炎と比べると発症頻度は稀。

 

病態

  • 主たる病態は、屈筋共同腱の微細損傷と変性である。
  • 主なメカニズムは、手関節掌屈と前腕回内筋に対する遠心性負荷、および肘関節外反負荷と考えられている。
  • C6・7神経根症患者にも内側上顆の症状が多くみられるため、必要に応じて頸椎検査を実施する(関連記事⇒『頸部疾患+頸肩腕症候群』・『胸郭出口症候群+上肢の絞扼神経障害』)

 

診断

テニス肘のような疼痛誘発テストは存在しないため、問診・症状から推論していく。

 

 

各部位疾患まとめ

 

以下の記事では、整形外科的疾患を部位一覧として記載している。

この記事と合わせて観覧してみて欲しい。

 

⇒『各部位における整形外科的疾患の概要

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