2020年3月25日に出された以下のニュースが、訪問マッサージ界隈を賑わせた。
フレアスは、レイスヘルスケア(神戸市)から訪問マッサージ治療院フランチャイズ事業を取得することを決めた。対象事業を会社分割して承継する新設会社オルテンシアハーモニー(神戸市)の全株式を取得する形とする。レイスヘルスケアは訪問マッサージ事業をフランチャイズ展開し、全国172拠点(1月末)の運営管理を手がける。
フレアスは全国103拠点で訪問マッサージ事業をフランチャイズを含めて展開している。同業大手の事業を取り込み、在宅マッサージ業界でのシェア拡大を目指す。
取得価額は5億1000万円。取得予定日は2020年6月1日。
訪問マッサージのフランチャイズで有名なのは「KEiROW」や「レイス」であった。
そんな「レイス」をフレアスが買収(M&A)したことで、レイスが培ったFCのノウハウを効率よく活用して、更なる飛躍を遂げる可能性がある。
レイス買収に関する投資家の反応
フレアスは訪問マッサージの(FCではなく)直営店として有名な会社で、マザーズに株式上場している会社である。
でもって、1年前くらいからフランチャイズ展開も始めた訳だが、レイスを買収することでFCに関して試行錯誤する手間が大幅に省ける可能性がある。
ただし、現在コロナウィルスも影響してか世界恐慌+日本株価大暴落の最中における投資家の反応は冷ややかで、ヤフー掲示板における書き込みを観覧すると、レイス買収に関しては以下のようなコメントが見られました。
直営を増やすべき。
言えば、少々疑問に思うところです。
直営じゃ儲からないんですかね。
儲かる事業を売るわけないでしょ
お先まっくらな赤字事業をお金を出して買うということですね。
ばかげています
何を根拠に言っているのか意味不明な投稿もありますが、「開業ビジネスをしたいのでしょう」というコメントには、なるほどなと思った。
フレアスがレイスを買収した意味
フレアスのHPを見たら「レイス買収に関するIR」が出ていた。
少し長い文章になるが、以下の通り。
当社は、「全国津々浦々に、一人でも多くの方に速やかにフレアスのサービスを提供し、日本の在宅事情を明るくする。」という経営ビジョンのもと、主として高齢者への訪問マッサージを行うマッサージ事業を展開しております。
高齢化社会において、ますます増大する利用者ニーズに対応するために、これまで、事業所の新規出店並びにあん摩マッサージ指圧師及び営業活動を担う相談員の増員を実施し、また、営業譲受による拠点拡大を推進してまいりました。
さらに、当社は、マッサージ事業の非連続的成長の実現により利用者のさらなる増大を図るための事業戦略として、介護施設等の法人営業の強化に取り組んでおりますが、そのためには、サービス提供エリアのさらなる拡充が必要となるため、当事業年度よりマッサージ事業に係るフランチャイズ事業を本格的に展開してまいりました。本日現在、当社ではフランチャイズを含め、全国 103 拠点においてサービスを展開しております。
しかしながら、団塊の世代が 75 歳以上の後期高齢者に達する 2025 年頃には、国民の3人に1人が 65 歳以上の高齢者、5人に1人が 75 歳以上の後期高齢者になるといういわゆる「2025 年問題」が到来し、多くの医療難民、介護難民の発生への対応が社会問題となることを見込んでおります。このような環境下、「2025年問題」の解決企業として当社が事業を遂行していくためには、事業展開のスピードをさらに加速させることが不可欠となるものと認識しております。
株式会社レイスヘルスケアは、当社と同様のマッサージ事業に係るフランチャイズ事業を展開しており、全国172 拠点(2020年1 月末時点)の運営管理を行っております。当社は、本件株式取得を通じて、マッサージ事業に係るフランチャイズチェーンとして在宅マッサージ業界におけるマーケットシェアのさらなる拡大を図るとともに、本件により大きく拡充されるサービス提供エリアを通じて、来年度以降の主たる成長戦略である介護施設等の法人営業の強化をより一層推進することを見込んでおり、当社サービス利用者のさらなる増大を図ってまいります。
レイス買収で事業展開を加速
直営店のみであったフレアスがフランチャイズにまで手を出した意味の一つは以下だと感じる。
効率良く市場拡大をすること
直営店を出店するには、かなりのリスクを伴うため、出店地域を吟味したり綿密な計画を立てる必要がある。
一方でフランチャイズでは、開業資金はオーナーが自分で用意するので、フレアスとしては懐を傷めずアドバイスをしていれば良いだけだ。
そして、オーナーがビジネスで成功すれば毎月ロイヤリティや諸々経費を徴収できるので、「直営店を出店するよりローリスクでありながらも、直営店を出店するのと遜色のない収益を生み出すこと」も可能となってくる。
なので、フランチャイズするにあたっては本気でアドバイスをしてくれるとは思うが、それでも成功するか失敗するかは運次第な部分がある。
なので「失敗しても金銭的なリスクを負う必要がなく、成功すれば毎月お金をオーナーから吸い上げることができるフランチャイズビジネス」は非常においしい商売だと言える。
この様にリスクを取らなくて良いのですから、ガンガン強気に訪問マッサージ事業を展開していくことが可能だ。
石橋をたたくように直営店を出店するよりスピード感が違う。
このフランチャイズ化で成功したオーナーは、フレアスとwin-winな関係が気づけてハッピーだろうが、その裏には数多くの屍となるオーナーが存在している可能性がある。
既存のレイスFCオーナーはどうするの?
実はレイスの従業員と話したことがあり、その際に「うちはKEiROWやフレアスとは違った強みを持っている」と話してくれていた。
どれだけレイスに強みがあるのかは定かではないが、「レイスとフレアスでFC規約が異なる」というのは間違いない。
そして「既存オーナーはレイス魅力を感じてFC加盟したのに、いずれはフレアスの規約に従う必要が出てくる可能性」がある。
そうなると、レイスオーナーに混乱が広がる可能性は否めない。
ちなみに、以下はレイスの訪問マッサージ動画。
「フレアスのレイス買収ニュース」の動画
今回のニュースを取り上げている動画を発見したので添付しておく。
まとめ
訪問マッサージフランチャイズ(FC)会社の「レイス」が、フレアスに買収された。
フレアスは「直営店をメインにした訪問マッサージ会社」で、最近はFC展開も試みている最中だった。
レイスは訪問マッサージFCでは老舗であり、そこで培われてたノウハウを活用することでフレアスは効率的に事業展開を進めていくことができるはずである。
ヤフー掲示板では、この件に関して「直営店でなぜ勝負しないのか?」といった書き込みも見られたが、フランチャイズ展開をすると「ノーリスクで(リスクをオーナーに押し付けた状態で)事業展開を加速できる」というメリットがある。
そして、起業というのは生易しいものではないので(一部の訪問マッサージ事業を成功させたオーナーの陰に)失敗して開業・運転資金をどぶに捨てて退場してしまう人も存在する事だろう。
そして気がかりなのは「既存のレイスFCのオーナー」だ。
以前レイスの従業員に聞いた話だと、同じFCでもフレアスとレイスではFC規約が大きく異なる。
そして、新たな(フレアスの)規約を飲めないオーナーは事業を畳むことになるのか、それともフレアスが事業を買い取ってくれるのか?
訪問マッサージ事業をオーナーが継続できるためにも、オーナーの意向を少しでも組んだ規約になっていることを祈る。